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わかれ道

樋口一葉

『わかれ道』は青空文庫で公開されている樋口一葉の短編作品。6,907文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数
30分以内
6,907文字
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書出

上お京さん居ますかと窓の戸の外に來て、こと/\と羽目を敲(たゝ)く音のするに、誰れだえ、もう寐て仕舞つたから明日來てお呉れと嘘を言へば、寐たつて宜いやね、起きて明けてお呉んなさい、傘屋の吉だよ、己れだよと少し高く言へば、嫌な子だね此樣な遲くに何を言ひに來たか、又お餅のおねだりか、と笑つて、今あけるよ少時辛棒おしと言ひながら、仕立かけの縫物に針どめして立つは年頃二十餘りの意氣な女、多い髮の毛を忙しい折からとて結び髮にして、少し長めな八丈の前だれ、お召の臺なしな半天...

初出
底本日本現代文學全集 10 樋口一葉集
表記
旧字旧仮名
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