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今野大力の全作品

青空文庫で公開されている今野大力の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。

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作品名著者読了時間人気
徒弟今野大力
5分以内
いち早く冬の来る北方の街頭に寒い空ッ風が吹きまくる或る朝理髪師の徒弟は店先を掃いていた店先に一本の街路樹があった落葉は風になぶられてあちこちに吹きたまる正直な徒弟は幾度もそれを掃いていた時が過ぎる徒弟は街路樹に登った木葉はもう一枚も街路樹に残っていなかった徒弟は街路樹をゆすぶり箒ですっかり叩き落していた五・一八。
今野大力
5分以内
もったいない事である肺患者の残した実に多量の食物は惜し気もなく捨てられる鮭の照焼や筍やうどふきのうま煮なんか多くの人々にとって大した御馳走なんだのに一椀の飯さえ思うように喰えぬ人々が見たらおおめまいしてしまいそうな食物の山山近所の豚がこの滅多に人間さえ食べないものをうんと腹一杯たべてコロコロに肥っている豚が肥えて肉屋に並べられてもそれが何とか西洋料理支那料理になっても豚の食う程のもの...
春の土へ今野大力
5分以内
早く春になったら、どんなに楽しい事だろう、日向の小高い丘に軟く暖く香高い土があらわれて、蕗(ふき)の薹(とう)が上衣を脱ぎ、水晶の様に澄んだ水が、小川を流れ、小魚がピチピチ泳いでいる。
光よあれ今野大力
5分以内
常夜の世界に生命ありてうごめける時光りは東方より、忍びやかに来りて輝き初め万物その己の存在を認め歓喜の頂点に至れるはいかに至上の盛事なりしか我等は光りの海に泳げる魚達なり光りなくして死を思う生命なり光りよあれ、而して永久に我等を愛でよ……。
波濤よ今野大力
5分以内
おおはるけき方より寄せ来る波濤よ汝が最大の実力と自信を持って岩礁を打て、万丈のしぶきを上げよその時、海神は大空に懸る天日をおおいて。
東方の窓辺にて今野大力
5分以内
私のいる家の東方に窓があった私は農家の二階に間借りして幾十日かを過す身であった私は自分の起居に不自由の身をそこに運び、ひたすら、健康の日を恋していたのである、かがやく健康の美しさは私の希望であった私は東方に追憶の瞬間を持つ私の室の東方の窓はそこへの視野を展開しているハコネの連山は眺望の彼方にある山脈の起伏は無言に昨日も今日も変りはないがただ風に送られる雲の往来と空色の変化とを発見する、雲の彼方橙...
闘士の恋の歌今野大力
5分以内
この腕で木刀をうけとめこの肋骨で拷問にこたえこの眼で奴らをねめかえしこの歯で奴等に喰いつきこの脚で敵の包囲を蹴破ったこの私のからだはお前のもの、そして一緒に階級のものプロレタリアートの陣営のもの。
東郷大将と彼今野大力
5分以内
彼のアジトには東郷大将の肖像が壁にはられていたそれからあの「皇国の興廃此一戦に在り各員一層奮励努力せよ」という同じ東郷大将の筆蹟もあった彼の家に二度三度サーベルがやってきてこれを見て行ったし近所のおしゃべり女房が窓の外からこの平凡な風景を見て行ったしどうやら東郷大将は彼のために煙幕作業をやっている日露戦争の折には人民の敵ツァーの艦隊を全滅させてロシアに革命を早くさせたとい...
今野大力
5分以内
ギリシャ古典の趾(のこ)せる物語りをも空理としてさげすむ勿(なか)れ吾等生命は土深く埋もれし精霊なりき神によりてつくられし形態をこそ讃美せる女人像の豊満なる肉体美をこそ讃美せよ曲線美なだらかに走れるあたりを讃美せよ而(しか)して土への感謝祭を土そは生命偶像の聖母なりし。
楽しい会合今野大力
5分以内
叔母に伯父山の人々尋ね来て語り合う久方の話さても又十年前の物語内地のことその山その川その家すべて今ならば夢か知らね柿の木も桑の木も背戸の林も表の山も美しい思い出の国母もまた我を背負いて渡り来し松前のなぞえの山をおぼろげにおもい出でしか語り明す夜はうれしも。
たたかいの中に今野大力
5分以内
母を飢えさせ妻子を飢えさせ幼き弟を稼がせてどうやら俺のいない家が保たれている「飢死の自由」は九尺二間の長屋を占領し共同井戸の水さえくさってまずい芋を煮て仏壇に捧げようとも心から、真に生命の極から諦めぬうらみをこめて手向けとなり俺が死なないようにむざむざとうらみの手に殺されないように無言のいのりがひそんでいる平和な家庭――生活、平和な生存、おしゃべりなしの真剣な愛、...
高峯の頌今野大力
5分以内
荒蕪の平原に野を耕し草を食み、木の実を喰(くら)える人類生存の現象は高峯の麓にありてあまりにはかなき生命……盛夏白熱頂点に達せんとするも未だに消ゆるなき雪原の輝きは天地創造の第一年より永遠なり人類生命、億劫に至るも一切は幻滅に帰り無し――一切無し成体もこれ大地の化身なれば霊魂も又瞬間にして遺る何物もあらざるべしされど高峯は歴史を超え時代を超えて永遠……。
静夜昇天今野大力
5分以内
柱時計のけだるきリズムに眠たげなる洋燈の光りに深々と沈みゆく我らが生九時を聞き十時を聞きすべては眠りを欲りするの時みな底の吐息は泡となりほそぼそき昇天の心は我生の魂と共にかいのぼりゆく。
聖堂の近くを過ぐる今野大力
5分以内
ポプラの梢の空高く大空を指さして厳かな聖き自然の力を表わす幹はだの荒くれた並木の下にヘブライ文化の主流であるキリスト教の教会堂が建っている私は毎日その近くを過ぎるそして神秘な古典の物語りを思い出し、ありし昔の日の幾多重ねた争闘の人間に与えし歴史を憶う……人間と言う極まりない霊魂の所有者はかくして永遠に血を浴びて闘わねばならないか宇宙の覆滅人類の滅亡ああその日までどんな歴史を作るであろう今...
星座今野大力
5分以内
今宵夜はふけたり闇夜の天空高く一陣の星座を見るこは天に懸かる我十字架なりこの夜魂は単調なる鼓動に倦(う)み七重の塁壁を超えて至りそが前に静座し礼讃し祈祷す。
人面凝視今野大力
5分以内
ふとして眺むれば彼処に笑めるは一人の不可解なる精霊の所有者であるわれは今その面を見つつ想う唇……おおそは紅の渕に囲われし底知れぬ沼である鼻……おおそはまろみあるエジプトのピラミットである眼……おおそはうるおい耀く黒曜石の玉を秘めし二つの湖水である眉……おおそは湖水をめぐりて小丘の上に繁れる林であるおおなめらかに広き無毛の原を過ぎ行けば彼方は千古の密林である。
新世紀への伴奏今野大力
5分以内
(1)行け!私達自然の教徒よ高く高く燃え燃ゆる自然の精霊の上へ人間の生命の魂を燃え((ママ))べくして燃えざりし炬火を天日の情熱に投げこんで紅蓮の焔を眺めつつ歌え、歌え、輝かせよ(大地よ、ゆるぐべきものよ古哲の教授よ何と皮相なよろこびなる草ものびる、私も育つああ、生長への伴奏よ葬送への奏楽ぞ)(2)行け!私達一切への戦士よ異国のはるかにへ...
信疑の魔女今野大力
5分以内
自分の室で自分の演じていた舞台で自分を取巻き或は隙見し或は踊っていた一人の魔女「此世の一切は信疑の魔女の領分です勿論人間は私の兵卒よあなた何を惑っているの?それよりわたし自身のこの力を讃美でもして下さいなで賢こい人間あなた」。
残冬今野大力
5分以内
空はにごれる白亜の色北国の――悩ましき擾乱大地ははっちを閉じている………地平の彼方――友等処女等同じくなやめ同胞達………北極の襲い来れる、白鵞の万毛風をよび、吹きなす、ひょうひょうの声木をゆるぎ、屋根をはぐ………狂暴の形態天魔の降臨。
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