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作品名著者読了時間文字数人気書き出し
銭形平次捕物控野村胡堂60分以内15,273

一  ガラッ八の八五郎は、こんないい心持になったことはありません。

一  ガラッ八の八五郎は、こんないい心持になったことはありません。

折々の記吉川英治1時間〜137,249

序 ことばは少く、文はみじかいほどがよい。

序 ことばは少く、文はみじかいほどがよい。

生き烏賊白味噌漬け北大路魯山人5分以内1,105

東京で西京漬けと呼んでいるのは、京都産の白味噌に魚類を漬け込んだものを言う。

東京で西京漬けと呼んでいるのは、京都産の白味噌に魚類を漬け込んだものを言う。

紅梅の客吉川英治30分以内7,619

ひとくちに紅くさえあれば紅梅といっているが、あの紅さもいろいろである。

ひとくちに紅くさえあれば紅梅といっているが、あの紅さもいろいろである。

僕の友だち二三人芥川竜之介5分以内1,346

1  小穴隆一君(特に「君」の字をつけるのも可笑しい位である)は僕よりも年少である。

1  小穴隆一君(特に「君」の字をつけるのも可笑しい位である)は僕よりも年少である。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内20,613

一 「親分、聽いたでせう?」  ガラツ八の八五郎は、鐵砲玉のやうに飛び込んで來ると、格子戸と鉢合せをして、二つ三つキリキリ舞ひをして、バアと狹い土間へ長んがい顎を突き出すのです。

一 「親分、聽いたでせう?」  ガラツ八の八五郎は、鐵砲玉のやうに飛び込んで來ると、格子戸と鉢合せをして、二つ三つキリキリ舞ひをして、バアと狹い土間へ長んがい顎を突き出すのです。

かはたれ時柳田国男5分以内1,684

黄昏を雀色時ということは、誰が言い始めたか知らぬが、日本人でなければこしらえられぬ新語であった。

黄昏を雀色時ということは、誰が言い始めたか知らぬが、日本人でなければこしらえられぬ新語であった。

日本婦道記山本周五郎30分以内11,239

一 「いやそうではない」新沼靱負はしずかに首を振った、「……おかやに過失があったとか、役に立たぬなどというわけでは決してない、事情さえ許せばいて貰いたいのだ。隠さずに云えばいま出てゆかれてはこちらで困るくらいなのだから」 「それでお暇が出るというのはどういうわけでございましょうか」律義に坐った膝をいっそう固くしながら多助はこう云った、「……あちらで今よく話してみたのですが妹はただ泣くばかりで、悪

一 「いやそうではない」新沼靱負はしずかに首を振った、「……おかやに過失があったとか、役に立たぬなどというわけでは決してない、事情さえ許せばいて貰いたいのだ。隠さずに云えばいま出てゆかれてはこちらで困るくらいなのだから」 「それでお暇が出るというのはどういうわけでございましょうか」律義に坐った膝をいっそう固くしながら多助はこう云った、「……あちらで今よく話してみたのですが妹はただ泣くばかりで、悪

山家ものがたり島崎藤村30分以内8,033

空に出でゝ星くずの明かにきらめくを眺むれば、おのれが心中にも少さき星のありて、心の闇を照すべしと思ふなり。

空に出でゝ星くずの明かにきらめくを眺むれば、おのれが心中にも少さき星のありて、心の闇を照すべしと思ふなり。

ディズニーの人と作品中谷宇吉郎30分以内6,315

一 ディズニーの風貌  昭和三十年の話であるが、シカゴの近郊に住んでいたころ、ハリウッドの映画賞授賞式の模様をテレビで見たことがある。

一 ディズニーの風貌  昭和三十年の話であるが、シカゴの近郊に住んでいたころ、ハリウッドの映画賞授賞式の模様をテレビで見たことがある。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,418

一 「親分、良い天氣ですぜ。チラホラ梅は咲いてゐるし、お小遣はフンダンにあるし――」 「嘘をつきやがれ。梅の咲いたのは俺だつて知つてゐるが、八五郎の財布にお小遣がフンダンにあるわけはないぢやないか」  錢形平次と子分の八五郎は相變らずの調子で始めました。

一 「親分、良い天氣ですぜ。チラホラ梅は咲いてゐるし、お小遣はフンダンにあるし――」 「嘘をつきやがれ。梅の咲いたのは俺だつて知つてゐるが、八五郎の財布にお小遣がフンダンにあるわけはないぢやないか」  錢形平次と子分の八五郎は相變らずの調子で始めました。

湖畔久生十蘭1時間〜24,465

この夏、拠処ない事情があって、箱根蘆ノ湖畔三ツ石の別荘で貴様の母を手にかけ、即日、東京検事局に自訴して出た。

この夏、拠処ない事情があって、箱根蘆ノ湖畔三ツ石の別荘で貴様の母を手にかけ、即日、東京検事局に自訴して出た。

新万葉物語伊藤左千夫30分以内4,936

からからに乾いて巻き縮れた、欅の落葉や榎の落葉や杉の枯葉も交った、ごみくたの類が、家のめぐり庭の隅々の、ここにもかしこにも一団ずつ屯をなしている。

からからに乾いて巻き縮れた、欅の落葉や榎の落葉や杉の枯葉も交った、ごみくたの類が、家のめぐり庭の隅々の、ここにもかしこにも一団ずつ屯をなしている。

銭形平次捕物控野村胡堂1時間〜32,303

發端篇 一 「お早う、親分」 「何んだ八か、今日あたりはお前の大變が舞ひ込みさうな陽氣だと思つたよ。斯う妙に生暖けえのは唯事ぢやねえ」  庭木戸の上から覗く八五郎の長い顎を見付けて、平次は坐つたまゝ聲を掛けました。

發端篇 一 「お早う、親分」 「何んだ八か、今日あたりはお前の大變が舞ひ込みさうな陽氣だと思つたよ。斯う妙に生暖けえのは唯事ぢやねえ」  庭木戸の上から覗く八五郎の長い顎を見付けて、平次は坐つたまゝ聲を掛けました。

任侠二刀流国枝史郎1時間〜228,431

茜茶屋での不思議な口説  ここは両国広小路、隅田川に向いた茜茶屋、一人の武士と一人の女、何かヒソヒソ話している。

茜茶屋での不思議な口説  ここは両国広小路、隅田川に向いた茜茶屋、一人の武士と一人の女、何かヒソヒソ話している。

私は海をだきしめていたい坂口安吾30分以内7,162

一  私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。

一  私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。

赤い杭岡本綺堂30分以内7,620

場所の名は今あらはに云ひにくいが、これは某カフヱーの主人の話である。

場所の名は今あらはに云ひにくいが、これは某カフヱーの主人の話である。

幸福への意志パウル・トーマス・マン60分以内15,789

老ホフマンはその金を、南アメリカの耕地の持主として、儲けたのであった。

老ホフマンはその金を、南アメリカの耕地の持主として、儲けたのであった。

中原中也君の印象萩原朔太郎5分以内927

中原君の詩はよく讀んだが、個人としては極めて淺い知合だつた。

中原君の詩はよく讀んだが、個人としては極めて淺い知合だつた。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,881

一 「親分」  ガラツ八の八五郎が、泳ぐやうに飛込んで來たのは、江戸中の櫻が一ぺんに咲き揃つたやうな、生暖かくも麗らかな或日の朝のことでした。

一 「親分」  ガラツ八の八五郎が、泳ぐやうに飛込んで來たのは、江戸中の櫻が一ぺんに咲き揃つたやうな、生暖かくも麗らかな或日の朝のことでした。

喪服久生十蘭60分以内12,222

浜口治平   静江  妻   美紗  長女   八穂  次女 秋元 博  浜口の秘書 かつ 横浜、磯子屏風ヶ浦の台地にある浜口の邸。

浜口治平   静江  妻   美紗  長女   八穂  次女 秋元 博  浜口の秘書 かつ 横浜、磯子屏風ヶ浦の台地にある浜口の邸。

狂い凧梅崎春生1時間〜113,898

一  ある晴れた日の夕方、夕焼雲の色が褪せかけた頃、私は郊外の道を歩いていた。

一  ある晴れた日の夕方、夕焼雲の色が褪せかけた頃、私は郊外の道を歩いていた。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,002

一 「八、丁度宜いところだ。今お前を呼びにやらうと思つて居たが――」  平次はお勝手口から八五郎の迎へに飛び出さうとして居る女房のお靜を呼び留めて、改めてドブ板を高々と踏み鳴らして來る、八五郎の長い影法師を迎へ入れたのでした。

一 「八、丁度宜いところだ。今お前を呼びにやらうと思つて居たが――」  平次はお勝手口から八五郎の迎へに飛び出さうとして居る女房のお靜を呼び留めて、改めてドブ板を高々と踏み鳴らして來る、八五郎の長い影法師を迎へ入れたのでした。

ぐうたら道中記佐々木邦1時間〜168,009

第一回  何にする積りかこの間学校で担任の先生が皆のお父さんの職業を取調べた。

第一回  何にする積りかこの間学校で担任の先生が皆のお父さんの職業を取調べた。

浴槽大坪砂男30分以内4,310

1  ここから関東平野を一気に千メートル登ろうという碓氷峠の、アプト式鉄道の小刻みな振動を背筋に感じながら、私は読みさしの本をわきに伏せた。

1  ここから関東平野を一気に千メートル登ろうという碓氷峠の、アプト式鉄道の小刻みな振動を背筋に感じながら、私は読みさしの本をわきに伏せた。

奇談クラブ〔戦後版〕野村胡堂30分以内10,871

プロローグ 「徳川時代の大名生活のただれ切った馬鹿馬鹿しさは話しても話しても話し切れませんが、私にもその一つ、取って置きの面白い話があるのです」  話し手の宇佐美金太郎は、こんな調子で始めました。

プロローグ 「徳川時代の大名生活のただれ切った馬鹿馬鹿しさは話しても話しても話し切れませんが、私にもその一つ、取って置きの面白い話があるのです」  話し手の宇佐美金太郎は、こんな調子で始めました。

昔の言葉と悪口三遊亭金馬10分以内3,203

現在、各大学に落語研究会というものがあり、中学・高校の教科書にも江戸小咄がのっている。

現在、各大学に落語研究会というものがあり、中学・高校の教科書にも江戸小咄がのっている。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,187

一 「親分、あつしはよく/\運が惡いんだね」  ガラツ八の八五郎は、なんがい顎を撫でながら、つく/″\斯んな事をいふのです。

一 「親分、あつしはよく/\運が惡いんだね」  ガラツ八の八五郎は、なんがい顎を撫でながら、つく/″\斯んな事をいふのです。

宝塚生い立ちの記小林一三60分以内15,973

四十年前の宝塚風景  私が宝塚音楽学校を創めてから、今年でちょうど四十一年になる。

四十年前の宝塚風景  私が宝塚音楽学校を創めてから、今年でちょうど四十一年になる。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,112

一 「さあ大變だ、親分」  ガラツ八の八五郎は、髷先で春風を掻きわけるやうにすつ飛んで來ました。

一 「さあ大變だ、親分」  ガラツ八の八五郎は、髷先で春風を掻きわけるやうにすつ飛んで來ました。

聖書の読方内村鑑三30分以内8,185

十一月十五日栃木県氏家在狭間田に開かれたる聖書研究会に於て述べし講演の草稿。

十一月十五日栃木県氏家在狭間田に開かれたる聖書研究会に於て述べし講演の草稿。

洗いづくりの世界北大路魯山人10分以内2,149

これから当分はさかなの洗いづくりの季節である。

これから当分はさかなの洗いづくりの季節である。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,754

一  二月のある日、歩いてゐると斯う、額口の汗ばむやうな晝下がり、巣鴨からの野暮用の歸り、白山あたりへ辿りついた頃は、連の八五郎はもう、何んとなく御機嫌が斜めになつて居りました。

一  二月のある日、歩いてゐると斯う、額口の汗ばむやうな晝下がり、巣鴨からの野暮用の歸り、白山あたりへ辿りついた頃は、連の八五郎はもう、何んとなく御機嫌が斜めになつて居りました。

ジエィン・エアシャーロット・ブロンテ1時間〜521,933

解説  最初に、「ジエィン・エア」の意圖と特長を簡敍しよう。

解説  最初に、「ジエィン・エア」の意圖と特長を簡敍しよう。

うつせみ樋口一葉30分以内8,107

一  家の間数は三畳敷の玄関までを入れて五間、手狭なれども北南吹とほしの風入りよく、庭は広々として植込の木立も茂ければ、夏の住居にうつてつけと見えて、場処も小石川の植物園にちかく物静なれば、少しの不便を疵にして他には申旨のなき貸家ありけり、門の柱に札をはりしより大凡三月ごしにも成けれど、いまだに住人のさだまらで、主なき門の柳のいと、空しくなびくも淋しかりき、家は何処までも奇麗にて見こみの好ければ

一  家の間数は三畳敷の玄関までを入れて五間、手狭なれども北南吹とほしの風入りよく、庭は広々として植込の木立も茂ければ、夏の住居にうつてつけと見えて、場処も小石川の植物園にちかく物静なれば、少しの不便を疵にして他には申旨のなき貸家ありけり、門の柱に札をはりしより大凡三月ごしにも成けれど、いまだに住人のさだまらで、主なき門の柳のいと、空しくなびくも淋しかりき、家は何処までも奇麗にて見こみの好ければ

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,444

一  石原の利助が大怪我をしたという噂を聞いた銭形の平次、何を差措いても、その日のうちに見舞に行きました。

一  石原の利助が大怪我をしたという噂を聞いた銭形の平次、何を差措いても、その日のうちに見舞に行きました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,503

一 「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」  ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。

一 「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」  ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。

戯曲体小説 真夏の夜の恋谷崎潤一郎30分以内6,268

人物 山内滋   山内博士の子息 松本文造  薬局の書生 黛夢子   歌劇女優 黛薫    夢子の妹 歌劇女優 滋の父   医学博士 浅草厩橋 山内病院の院長 滋の母 其の他浅草公園の俳優不良少年少女等数人及び病院の看護婦召使等 時      現代 所      浅草公園を中心とする区域 その一 薬局室 七月下旬の或る日の夕方、書生の松本文造と山内滋とが薬局の窓の所でこそ/\と話し合つ

人物 山内滋   山内博士の子息 松本文造  薬局の書生 黛夢子   歌劇女優 黛薫    夢子の妹 歌劇女優 滋の父   医学博士 浅草厩橋 山内病院の院長 滋の母 其の他浅草公園の俳優不良少年少女等数人及び病院の看護婦召使等 時      現代 所      浅草公園を中心とする区域 その一 薬局室 七月下旬の或る日の夕方、書生の松本文造と山内滋とが薬局の窓の所でこそ/\と話し合つ

犬三遊亭金馬30分以内7,923

犬は三日飼うと三年恩を忘れないというが、犬は好きで十二、三歳頃、本所相生町の経師屋の伯父の家に奉公している時分に、雑種の犬を一匹拾ってきて伯父に叱られたことがある。

犬は三日飼うと三年恩を忘れないというが、犬は好きで十二、三歳頃、本所相生町の経師屋の伯父の家に奉公している時分に、雑種の犬を一匹拾ってきて伯父に叱られたことがある。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内11,348

一 「親分、こいつは変っているでしょう。とって十九の滅法綺麗な新造が仏様と心中したんだから、江戸開府以来の騒ぎだ」  ガラッ八の八五郎は、また変な噂を聴き込んで来ました。

一 「親分、こいつは変っているでしょう。とって十九の滅法綺麗な新造が仏様と心中したんだから、江戸開府以来の騒ぎだ」  ガラッ八の八五郎は、また変な噂を聴き込んで来ました。

安吾の新日本地理坂口安吾60分以内23,055

今日では埼玉県入間郡高麗村ですが、昔は武蔵の国の高麗郡であり、高麗村でありました。

今日では埼玉県入間郡高麗村ですが、昔は武蔵の国の高麗郡であり、高麗村でありました。

明治開化 安吾捕物坂口安吾1時間〜33,817

年が改って一月の十三日。

年が改って一月の十三日。

夏の夜の話中原中也5分以内1,866

夏も半ばを過ぎてゐた。

夏も半ばを過ぎてゐた。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,200

一 「親分、怖い話があるんだが――」  ガラツ八の八五郎が、息を切らして飛込みました。

一 「親分、怖い話があるんだが――」  ガラツ八の八五郎が、息を切らして飛込みました。

永井荷風佐藤春夫5分以内723

先生に関しては約半世紀の追想があり、既に蕪稿も千枚近く書いて来た。

先生に関しては約半世紀の追想があり、既に蕪稿も千枚近く書いて来た。

知られざる漱石小宮豊隆1時間〜34,517

木曜會  漱石先生の面會日は毎週木曜日だときまつてゐた。

木曜會  漱石先生の面會日は毎週木曜日だときまつてゐた。

銭形平次捕物控野村胡堂1時間〜27,060

一 「日本一の面白い話があるんですが、親分」  ガラツ八の八五郎、こみ上げる笑ひを噛みしめながら、ニヤリニヤリと入つて來るのです。

一 「日本一の面白い話があるんですが、親分」  ガラツ八の八五郎、こみ上げる笑ひを噛みしめながら、ニヤリニヤリと入つて來るのです。

秋と漫歩萩原朔太郎5分以内1,808

四季を通じて、私は秋という季節が一番好きである。

四季を通じて、私は秋という季節が一番好きである。

亜米利加の思出永井荷風10分以内3,935

皆様も御存じの通り私は若い時亜米利加に居たことはありますが、何しろ幾十年もむかしの事ですから、その時分の話をしてみたところで、今の世には何の用にもなりますまい。

皆様も御存じの通り私は若い時亜米利加に居たことはありますが、何しろ幾十年もむかしの事ですから、その時分の話をしてみたところで、今の世には何の用にもなりますまい。

客ぎらい谷崎潤一郎30分以内7,182

○  たしか寺田寅彦氏の随筆に、猫のしっぽのことを書いたものがあって、猫にあゝ云うしっぽがあるのは何の用をなすのか分らない、全くあれは無用の長物のように見える、人間の体にあんな邪魔物が附いていないのは仕合せだ、と云うようなことが書いてあるのを読んだことがあるが、私はそれと反対で、自分にもあゝ云う便利なものがあったならば、と思うことがしば/\である。

○  たしか寺田寅彦氏の随筆に、猫のしっぽのことを書いたものがあって、猫にあゝ云うしっぽがあるのは何の用をなすのか分らない、全くあれは無用の長物のように見える、人間の体にあんな邪魔物が附いていないのは仕合せだ、と云うようなことが書いてあるのを読んだことがあるが、私はそれと反対で、自分にもあゝ云う便利なものがあったならば、と思うことがしば/\である。