5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 色彩 | 今野大力 | 5分以内 | |
色彩なければ 我ら生はあらざらむ 春宵の薄暮 わが双眼の全き視神経は麻痺して 宇宙は皆灰一色となり 感ずべき何ものもなし 心ただ焦燥して 形なく踊れども みたすべき何ものもなし ああ春宵の薄暮 奪われし色彩のかえらじ 燃ゆるなき 古城址の焔と消えんのみ | |||
| 幸福を | 今野大力 | 5分以内 | |
おお我胸の苦しさよ 幸福は失われた おおそうだ、幸福は 輝き渡るかなたの山より 朝日の出づると共に 潮のように寄せて来た 然し幸福は私の手元にいる事を拒んだ、又引潮のように 夕べには次第々々に失われていった 私は考えている 失われた幸福の 私を避けた理由を 私は青ざめている 不幸にみいられて 苦しい事もかなしい事も みんな私をなやませて 一息の安らかな 呼吸さいあたえられない故に 私は自分自身で | |||
| 形象の献辞 | 今野大力 | 5分以内 | |
生命形象の末路にこそ われは華やかなる讃美を贈らんかな 生長に太りゆく肉体と自然 それら皆空々無色の透明体となり 精霊のみあれよ 而して無用なる形態一切は 生れ出でし日の永劫記念に 神前の土深く 埋葬し献ぜんかな | |||
| S療養所点景 | 今野大力 | 5分以内 | |
療養所の看護婦はいつも 廊下をみがいている ドアーのハンドルをみがいている いくらみがいてもピカピカ光る程 この療養所の建物は新らしくない それでも毎日 看護婦は廊下をみがきハンドルをみがく 主任が真先に立ってやって見せるし 主任の命令がきびしいので 看護婦は今日もみがきやになってる 病室に入って 病室のうすきたなさはちっともきれいにされない 病室には 廊下など歩くはおろか 半身を起せぬ患者が呻 | |||
| 伊豆の伊東へ | 今野大力 | 5分以内 | |
地図を見ればここは伊豆 伊豆の温泉、伊東の町 熱海より五里余 汽車もなければ そびえ立つ岩肌を穿ち堀りけずり 辛くも自動車の往来する これこそ羊腸の道 怪異の岩礁出でて 緑の松腰を折れば そこは眺望絶佳といわれて ラムネ、レモンを売る 腰掛茶屋も並びあり 異人の女一人遠き伊豆の山肌を写しており 伊豆の山の美しさは われをして故郷にある貧しけれど情みつる 母の心情のうるおいを憶しめ 病児をいたわるは | |||
| 飢えたる百姓達 | 今野大力 | 5分以内 | |
稲の穂先へ米が幾粒実ったとても それが生活への打撃の少ないものはいい 一粒の種から一粒の穂先が首を天上へ―― 野は早くも荒涼 寒冷に夜はあける 稲ハセは痩せて鳥の飢えたる鳴き声に 不吉な暗示を、 百姓達は ああ どうしようもない 組合もない いや増しに来る寒さは吹雪となって腿引の破れへ首を釣り 穀物の尠い土地に雑草の種は蒔かれる。 | |||
| 軍服を着た百姓源造の除隊 | 今野大力 | 5分以内 | |
「おお源造よ 帰って来たか」 つまごをはき、雪路を踏んで、馬橇の上で別れて行ったあの日、 「俺あクジ逃れだ、俺には只一人のお母がいる、お母はおいぼれ……」 「でも源造よ、お上はお前や俺等のために、どうにもなんめいぞ、誰ぞと代って下されと、あれ程ねがったんだに 仕方のねい世の中だ 諦められない世の中よ そんだば、元気で行ってこう 源造よ、元気でだぞお!」 戦争におびやかされ 戦争は明日にも | |||
| 航海 | 今野大力 | 5分以内 | |
大いなる家鴨の姿に似たる 連絡船の三等船室にて 不愉快な動揺を感じ 軽い頭痛に悩まされ 渡り行く島の奥地に痛み悩む母への哀切に泣きつつ ひとりし寝転べば 出稼人夫等の行く先々の未だ見知らざる地への 憧れに満ちたる足に触れ 最初は驚き縮んだ私ではあるが 夢を持たない旅人のあらぬことを しみじみ我ながら感じては 貧しき出稼労働人の心に もろくも兄弟達の涙を感じ 足を伸べ組み添え 瞳を交し 微笑さえ見せ | |||
| 立待岬にいたりて | 今野大力 | 5分以内 | |
露西亜の船の沈んだ片身に残したと聞く石を抱いて われは又ある日のざんげをするか 函館山は高く 要塞地として秘密を冠る おごそかな 壮大なる岩礁の牢たる屹立は 東方に面して 何をひそかに語りつつあるか 黒鳥のあまた 岩に群がり 波に浮び 魚を捕う かつてここら立待岬のアイヌ達は 魚群の来るを銛を携えて立ち待てりと伝う 東海の波濤のすさまじく寄せ打つ処 崖上の草地にマントを着たる四五人の少女等 寝そべ | |||
| 兵士の綱 | 今野大力 | 5分以内 | |
「引け!」 イチニ、イチニ、イチニ 雨が降る 秋に降る冷たい雨、落葉を叩く 頬を打つ流してはならぬ涙の様 イチニ、イチニ、イチニ 中途でぐうんと引かかる、よろ、よろ、よろ、重たいゆるがぬ万億の重量 「止まれ!」 班長、ちっとあおそすぎないか 六人の肩に絨衣を通して 肩に割り込む兵士の綱 グレンの代りに使われる 架橋工事の兵士達 雨の中、川をこいで綱を引く 「初め!」 イチニ、イチニ、イチニ するす | |||
| 本土の港を指して | 今野大力 | 5分以内 | |
津軽の海風は 暮れ行く夕日の彼方へと連絡船を冷たく吹き送る 桟橋に立ち去り兼ねて見送る人々とも別れて 身をマントに包み 頬をうずめて 物蔭甲板に佇めば 防波堤に点る明滅の灯火も見えずなり 巍然たる函館山の容姿も 次第に海をへだてて 水夫の投げこんだ速度計の速めらるるままに 闇の中に失われゆく かくて海峡の海は次第に荒く 空よりは白き贈り物音もなく 真闇の中に降り来り、海に消え マストに積る 船は船 | |||
| 碇泊船 | 今野大力 | 5分以内 | |
船腹の色のはげ落ちた惨さは 遠く波濤とたたかって来た 今は疲労になやんで ぐったりと体を伸べたような いたわりの心を感ずる 廃船のようではないか 英蘭の旗を船尾に立てて 見れば船員が二三人 甲板に出て立っている あの船員の眼は碧く 頭髪は褐色に染み 彼ら異邦を航海する人々 雪降り暮るる港にあり | |||
| 麦やきの日 | 今野大力 | 5分以内 | |
人手なき独り者 治兵衛の麦はせに 飛火して燃えうつり 泡を喰った治兵衛は 麦束もて火を叩く 風つのり火はさかり 麦はせは凡て燃え 治兵衛は大火傷 やけどした六十男 治兵衛はわめきつつ こげのこる麦の穂を かき集めかき集め かなしさと痛さとに 大声で泣きわめく 一九三四・六 | |||
| 我等の春 | 今野大力 | 5分以内 | |
春の丘を超えて歩んで来た息子の母は 慈愛にみち 春の大地のように ふくふくとめぐみにみちていた。 | |||
| ある時 | 今野大力 | 5分以内 | |
「未曾有のキキン」 「大水害」 「餓死の年」 遠いほんとうに遠い 父と息子の住んで居る土地は 時代をとりちがえて生きて居るようにほんとうに遠い 手紙の封筒は ほご紙を飯粒のりでこさえておくる 切手はどこかのすみからさがして来たようにすすけてしわくちゃだ 父と息子のたよりは 三銭の切手もめったに送らない 父は「死んでしまおうか」と訴えてくる 白髪のお母よ丈夫で居てくれ 小さい弟妹よ、丈夫に育ってくれ | |||
| ランボオへ | 富永太郎 | 5分以内 | |
※ キオスクにランボオ 手にはマニラ 空は美しい えゝ 血はみなパンだ ※ 詩人が御不在になると 千家族が一家で軋めく またおいでになると 掟に適つたことしかしない ※ 神様があいつを光らして、横にして下さるやうに! それからあれが青や薔薇色の パラソルを見ないやうに! 波の中は殉教者でうようよですよ | |||
| 四行詩 | 富永太郎 | 5分以内 | |
青鈍たおまへの声の森に 銅を浴びたこの額を沈めたい 柔く柔く 毛細管よりも貞順に オーボアよ胸を踏め睫毛に縋れ | |||
| 四行詩 | 富永太郎 | 5分以内 | |
琺瑯の野外の空に 明けの鳥一つ 阿爾加里性水溶液にて この身を洗へ 蟷螂は眼光らせ 露しげき叢を出づ わが手は 緑玉製 Isis の御膝の上に | |||
| 夜の讃歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
地は定形なく曠空くして黒暗淵の面にあり 神の霊水の面を覆ひたりき ――創世記 黒暗の潮 今満ちて 晦冥の夜ともなれば 仮構の万象そが※[#「門<亥」、U+95A1、19-上-9]性を失し 解体の喜びに酔ひ痴れて 心をのゝき 渾沌の母の胸へと帰入する。 | |||
| ゆふべみた夢(Etude) | 富永太郎 | 5分以内 | |
花の散つてゐる街中の桜並木を通つてゐた。 | |||
| 無題 京都 | 富永太郎 | 5分以内 | |
おまへの歯は よく切れるさうな 山々の皮膚が あんなに赤く 夕陽で爛らされた鐃鉢を 焦々して 摺り合せてゐる おまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれ おまへの顎が、薄明を食べてゐる橋の下で 友禅染を晒すのだとかいふ黝い水が 産卵を終へた蜉蝣の羽根を滲ませる おまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれ 色褪せた造りものの おまへの四肢の花々で 貧血の柳らを飾つてやることはない コンクリートの護岸堤は | |||
| 無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
幾日幾夜の 熱病の後なる 濠端のあさあけを讃ふ。 | |||
| 無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
たゞひとり黎明の森を行く。 | |||
| 無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
月青く人影なきこの深夜 家々の閨をかいま見つゝ 白き巷を疾くよぎる侏儒の影あり 愚かなる状して黒々と立てる屋根の下に 臥所ありて人はいぎたなく眠れり 家々はかく遠く連なりたれど 眠の罪たるを知るもの絶えてあらず 月も今宵その青き光を恥ぢず 快楽を欲する人間の流す いつはりの涙に媚ぶと見えたり かゝる安逸の領ずる夜なれば あらんかぎりの男女の肌を見んとて 魔性の侏儒は心たのしみ おもはゆげもな | |||
| 無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
ありがたい静かなこの夕べ、 何とて我が心は波うつ。 | |||
| 俯瞰景 | 富永太郎 | 5分以内 | |
溝ぷちの水たまりをへらへらと泳ぐ高貴な魂がある。 | |||
| 晩春小曲 | 富永太郎 | 5分以内 | |
五月のほのかなる葉桜の下を 遠き自動車は走り去る。 | |||
| 橋の上の自画像 | 富永太郎 | 5分以内 | |
今宵私のパイプは橋の上で 狂暴に煙を上昇させる。 | |||
| 癲狂院外景 | 富永太郎 | 5分以内 | |
夕暮の癲狂院は寂寞として 苔ばんだ石塀を囲らしてゐます。 | |||
| 手 | 富永太郎 | 5分以内 | |
おまへの手はもの悲しい 酒びたしのテーブルの上に。 | |||
| 断片 | 富永太郎 | 5分以内 | |
私には群集が絶対に必要であつた。 | |||
| 大脳は厨房である | 富永太郎 | 5分以内 | |
眼球は日光を厭ふ故に 瞼の鎧戸をひたとおろし 頭蓋の中へ引き退く。 | |||
| 煙草の歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
阪を上りつめてみたら、 盆のやうな月と並んで、 黒い松の木の影一本…… 私は、子供らが手をつないで歌ふ 「籠の鳥」の歌を歌はうと思つた。 | |||
| 即興 | 富永太郎 | 5分以内 | |
古池の上に ぬつと突き出たマドロスパイプ。 | |||
| 熱情的なフーガ | 富永太郎 | 5分以内 | |
七月の日光の 多彩なるアラベスク。 | |||
| 焦燥 | 富永太郎 | 5分以内 | |
母親は煎薬を煎じに行つた 枯れた葦の葉が短かいので。 | |||
| 頌歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
鋼の波に アベラール沈み 鉛の艫に エロイーズ浮む 骸炭は澪に乗り 直立する彼岸花を捧げて走り 『死』は半ば脣を開いて 水を恋ひ また 燠を霊床とする すべては 緑礬のみづ底に息をつく 象牙球の腹部の内側に | |||
| 原始林の縁辺に於ける探険者 | 富永太郎 | 5分以内 | |
※ 陽の眼を知らぬ原始林の 幾日幾夜の旅の間 わたくし 熟練な未知境の探険者は たゞふかぶかと頭上に生ひ伏した闊葉の 思ひつめた吐息を聴いたのみだ。 | |||
| 警戒 | 富永太郎 | 5分以内 | |
酔ひ痴れて、母君の知り給はぬ女の胸にあるとき、「*ここにわが働かざりし双手あり」の句を君の耳もとにさゝやき、卒然と君の眼の中に、母君の白き髪と額の皺とを呼び入れるものは何であるか。 | |||
| 画家の午後 | 富永太郎 | 5分以内 | |
雪解けの午後は淋し 砂利を噛む荷車の 轍の音遠くきこえ 疲れ心地にふくみたる パイプの煙をのゝく 室ぬちは冬の日うすれ 描きさしのセント・セバスチアンは 低くためいきす。 | |||
| 影絵 | 富永太郎 | 5分以内 | |
半缺けの日本の月の下を、 一寸法師の夫婦が急ぐ。 | |||
| 横臥合掌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
病みさらぼへたこの肉身を 湿りたるわくら葉に横たへよう わがまはりにはすくすくと 節の間長き竹が生え 冬の夜の黒い疾い風ゆゑに 茎は戛々の音を立てる 節の間長き竹の茎は 我が頭上に黒々と天蓋を捧げ 網目なすそのひと葉ひと葉は 夜半の白い霜を帯び いとも鋭い葉先をさし延べ わが力ない心臓の方をゆびさす | |||
| 美しき敵 | 富永太郎 | 5分以内 | |
私はその頃不眠症に悩んで居た。 | |||
| 遺産分配書 | 富永太郎 | 5分以内 | |
わが女王へ。 | |||
| PANTOMIME | 富永太郎 | 5分以内 | |
うす暗い椽側の端で、 琥珀色した女の瞳が 光つた――夫に叛いた。 | |||
| COLLOQUE MOQUEUR | 富永太郎 | 5分以内 | |
立ち去つた私のマリアの記念にと 友と二人アプサントを飲んだ帰るさ 星空の下をよろめいて、 互の肩につかまりあつた。 | |||
| 港 | シャルル・ピエール・ボードレール | 5分以内 | |
港は人生の闘に疲れた魂には快い住家である。 | |||
| 窓 | シャルル・ピエール・ボードレール | 5分以内 | |
開いた窓の外からのぞき込む人は決して閉ざされた窓を眺める人ほど多くのものを見るものではない。 | |||
| 道化とヸナス | シャルル・ピエール・ボードレール | 5分以内 | |
何といふすばらしい日だ! 広大な公園は、愛神の支配の下にある若者のやうに、太陽のぎら/\した眼の下に悶絶してゐる。 | |||
| 射的場と墓地 | シャルル・ピエール・ボードレール | 5分以内 | |
墓地見晴し御休処――「妙な看板だな」――と我が散策者は独言つた――「それにしても、あれを見ると実際喉が渇く様に出来てゐる! きつとこゝの主人は、オラースや、エピキユールの弟子の詩人たちぐらゐは解つてゐるにちがひない。事によつたら、骸骨か、何か人生のはかなさを示す徴がなくては宴会が出来なかつた、古代埃及人程ひどく凝り性なのかもしれない。」 彼は入つて行つて、墓地に向つて一杯のビールをのみ、それから | |||