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久生十蘭の全作品

青空文庫で公開されている久生十蘭の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。

51-100件 / 全108件
作品名著者読了時間人気
虹の橋久生十蘭
60分以内
一  北川千代は栃木刑務所で服役中の受刑者で、公訴の罪名は傷害致死、刑期は六年、二十八年の三月に確定し、小菅の東京拘置所から栃木刑務所に移され、その年の七月に所内で女児を分娩した。
キャラコさん久生十蘭
1時間〜
一  雲ひとつない紺碧の空。
ノンシャラン道中記久生十蘭
60分以内
一九二九年の夏、大西洋に面した西仏蘭西の沿岸にある離れ小島に、二人の東洋人がやって来た。
あなたも私も久生十蘭
1時間〜
クラゲの海  夏は終ったが、まだ秋ではない、その間ぐらいの季節……  沖波が立ち、海はクラゲの花園になっている。
新西遊記久生十蘭
1時間〜
宇治黄檗山の山口智海という二十六歳の学侶が西蔵へ行って西蔵訳の大蔵経(一切経または蔵経、仏教の典籍一切を分類編纂したもの)をとって来ようと思いたち、五百三十円の餞別を懐ろに、明治卅年の六月廿五日、神戸を発って印度のカルカッタに向った。
キャラコさん久生十蘭
60分以内
一  風がまだ冷たいが、もう、すっかり春の気候で、湖水は青い空をうつして、ゆったりとくつろいでいる。
墓地展望亭久生十蘭
1時間〜
巴里の山の手に、ペール・ラシェーズという広い墓地があって、そのうしろの小高い岡の上に、≪Belle-vue de Tombeau≫という、一風変った名の喫茶店がある。
奥の海久生十蘭
60分以内
京都所司代、御式方頭取、阪田出雲の下役に堀金十郎という渡り祐筆がいた。
西林図久生十蘭
30分以内
一  冬木が縁の日向に坐って、懐手でぼんやりしているところへ、俳友の冬亭がビールと葱をさげてきて、今日はツル菜鍋をやりますといった。
復活祭久生十蘭
30分以内
一  二時半に食堂部が終ると、外套置場と交換台に当番をおいてレジスターやルーム・メイドが食事に行く。
藤九郎の島久生十蘭
30分以内
一  享保四年の秋、遠州新居の筒山船に船頭左太夫以下、楫取、水夫十二人が乗組んで南部へ米を運んだ帰り、十一月末、運賃材木を積んで宮古港を出帆、九十九里浜の沖合まで来たところで、にわかの時化に遭った。
野萩久生十蘭
30分以内
一  出かけるはずの時間になったが、安は来ない。
ノンシャラン道中記久生十蘭
60分以内
一、タヌはコン吉に雀の説教。
ノンシャラン道中記久生十蘭
60分以内
一、誦するはこれ極楽浄土の歌。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
獅子噛  春がすみ。
海豹島久生十蘭
1時間〜
二日ほど前から近年にない強い北々風が吹き荒れ、今日もやまない。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
馬の尻尾 「はて、いい天気だの」  紙魚くいだらけの古帳面を、部屋いっぱいにとりちらしたなかで、乾割れた、蠅のくそだらけの床柱に凭れ、ふところから手の先だけを出し、馬鹿長い顎の先をつまみながら、のんびりと空を見あげている。
顎十郎捕物帳久生十蘭
30分以内
魚釣談義  神田小川町『川崎』という釣道具屋。
顎十郎捕物帳久生十蘭
30分以内
藤波友衛  坊主畳を敷いた長二十畳で、部屋のまんなかに大きな囲炉裏が切ってある。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
左きき 「こりゃ、ご書見のところを……」 「ふむ」  書見台から顔をあげると、蒼みわたった、鬢の毛のうすい、鋭い顔をゆっくりとそちらへ向け、 「おお、千太か。……そんなところで及び腰をしていねえで、こっちへ入って坐れ」 「お邪魔では……」 「なアに、暇ッつぶしの青表紙、どうせ、身につくはずがない。……ちょうど、相手ほしやのところだった」 「じゃア、ごめんこうむって……」  羽織の裾をはね、でっぷ
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
新酒 「……先生、お茶が入りました」 「う、う、う」 「だいぶと、おひまのようですね。……鞴祭の蜜柑がございます、ひとつ召しあがれ」 「かたじけない。……季節はずれに、ひどくポカつくんで、うっとりしていた」  大きなあくびをひとつすると、盆のほうへ手をのばして蜜柑をとりあげる。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
賜氷の節 「これ、押すな、押すな。……押すな、と申すに」 「どうか、お氷を……」 「あなただけが貰いたいのじゃない、みな、こうして待っている」 「……ほんの、ひとかけでも……」 「いま、順にくださる、お待ちなさい……」 「じつは……」 「おい、お武家さん、おれたちは、こうして炎天に照らされながら二刻も前から待っているんです。……つい、いま来て、先にせしめようというなあ、すこしばかり虫がいいでしょ
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
二の字の傷  恒例の鶴御成は、いよいよ明日にせまったので、月番、北町奉行永井播磨守が、城内西の溜で南町奉行池田甲斐守と道中警備の打ちあわせをしているところへ、 「阿部さまが、至急のお召し」  と、お茶坊主が迎えに来た。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
客の名札  勝色定紋つきの羽二重の小袖に、茶棒縞の仙台平の袴を折目高につけ、金無垢の縁頭に秋草を毛彫りした見事な脇差を手挾んでいる。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
神隠し  もう子刻に近い。
顎十郎捕物帳久生十蘭
30分以内
川風 「阿古十郎さん、まア、もうひとつ召しあがれ」 「ごうせいに、とりもつの」 「へへへ」 「陽気のせいじゃあるまいな」 「あいかわらず、悪い口だ。……いくらあっしが下戸でも、船遊びぐらいはいたします。……これがあたしの持病でね。……まア、いっぱい召しあがれ」  川面から映りかえす陽のひかりが屋根舟の障子にチラチラとうごく。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
初鰹 「船でい」 「おお、船だ船だ」 「鰹をやれ、鰹をやれ」 「運のいい畜生だ」 「おうい、和次郎ぬし、船だぞい、おも舵だ」  文久二年四月十七日、伊豆国賀茂郡松崎村の鰹船が焼津の沖で初鰹を釣り、船梁もたわむほどになって相模灘を突っ走る。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
夕立の客 「……向島は夕立の名所だというが、こりゃア、悪いときに降りだした」 「佐原屋は、さぞ難儀していることだろう。……長崎屋さん、ときに、いま何字でございますね」 「はい、ちょうど七字と十ミニュート……」 「ああ、そうですか。……六字に神田を出たとして、駕籠ならば小泉町、猪牙ならば厩橋あたり。……ずぶ濡れになって、さぞ、弱っているだろう」 「……佐原屋のことだから、如才なく船宿へでも駈けこん
顎十郎捕物帳久生十蘭
30分以内
金の鱗  看月も、あと二三日。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
恍けた手紙 「……手紙のおもむき、いかにも承知。……申し越されたように、この手紙の余白に、その旨を書きつけておいたから、これを御主人に差しあげてくれ」 「それで、御口上は?」  若いくせに、いやに皺の多い古生姜のようなひねこびた顔で、少々ウンテレガンらしく、口をあけてポカンと顎十郎の顔を見あげながら、返事を待っている。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
あぶれ駕籠 「やけに吹きっつぁらしますね」 「うるるる、これはたまらん。睾丸が凍えるわ」  師走からこのかた湿りがなく、春とはほんの名ばかり、筑波から来る名代の空ッ風が、夕方になると艮へまわり、梢おろしに枯葉を巻き土煙をあげ、斬りつけるようにビュウと吹き通る。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
角地争い  六月十五日の四ツ半(夜の十一時)ごろ、浅草柳橋二丁目の京屋吉兵衛の家から火が出、京屋を全焼して六ツ(十二時)過ぎにようやくおさまった。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
二十六夜待  七月二十六日は二十六夜待で、芝高輪、品川、築地の海手、深川洲崎、湯島天神の境内などにはほとんど江戸じゅうの老若が日暮まえから押しだして月の出を待つ。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
花婿  二十四日の亀戸天神様のお祭の夜からふりだした雨が、三十一日になっても降りやまない。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
お姫様 「なんだ、なんだ、てめえら。……客か、物貰いか、無銭飲か。ただしは、景気をつけに来たのか。店構えがあまり豪勢なんで、びっくりしたような面をしていやがる。……やいやい、入るなら入れ、そんなところに突っ立ってると風通しが悪いや」  繩暖簾をくぐったところをズブ六になった中間体が無暗にポンポンいうのを、亭主がおさえておいて、取ってつけたような揉手。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
はやり物  谷中、藪下の菊人形。
顎十郎捕物帳久生十蘭
30分以内
府中 「……すみませんねえ。これじゃ冥利につきるようで身体がちぢみます」 「やかましい、黙って乗っておれというのに」  駕籠に乗っているのは、ついこのあいだまで顎十郎の下まわりだった神田鍋町の御用聞、ひょろりの松五郎。
顎十郎捕物帳久生十蘭
60分以内
朝風呂  阿古十郎ことアコ長。
肌色の月久生十蘭
1時間〜
運送会社の集荷係が宅扱いの最後の梱包を運びだすと、この五年の間、宇野久美子の生活の砦だった二間つづきのアパートの部屋の中が、セットの組みあがらないテレビのスタジオのような空虚なようすになった。
犂氏の友情久生十蘭
60分以内
一  山川石亭先生が、蒼い顔をして入って来た。
骨仏久生十蘭
10分以内
床ずれがひどくなって寝がえりもできない。
昆虫図久生十蘭
5分以内
伴団六は、青木と同じく、大して才能のなさそうな貧乏画かきで、地続きの古ぼけたアトリエに、年増くさい女と二人で住んでいた。
平賀源内捕物帳久生十蘭
60分以内
十六日の朝景色  薄い靄の中に、応挙風の朱盆のような旭がのぼり、いかにもお正月らしいのどかな朝ぼらけ。
平賀源内捕物帳久生十蘭
60分以内
普賢菩薩のお白象  チャッチャッチキチ、チャッチキチ、  ヒイヤラヒイヤラ、テテドンドン…… 「夏祭だ」 「夏祭だ」 「天下祭でい」 「御用祭だ」 「練って来た、練って来た。あれが名代の諫鼓鶏……」 「お次は南伝馬町の猿の山車」 「日吉鷲平の猿の面。あの山鉾ひとつで四千五百両とは豪勢なものでござります」  ……三番は、平河町の騎射人形、……四番は、山王町の剣に水車、……八番は、駿河町の春日龍神、
平賀源内捕物帳久生十蘭
60分以内
朱房銀※の匕首  源内先生は旅姿である。
キャラコさん久生十蘭
1時間〜
一  キャラコさんは、ひろい茅原のなかに点綴するアメリカ村の赤瓦を眺めながら、精進湖までつづく坦々たるドライヴ・ウェイをゆっくりと歩いていた。
キャラコさん久生十蘭
1時間〜
一 「兄さん、あたしは、困ったことになりはしないかと思うんですがね。ピエールは、きのうも、あのお嬢さんと二人っきりで話していましたよ」  海風でしめった甲板の上を大股で歩きながら、エステル夫人が、男のようなしっかりした声で、こういう。
キャラコさん久生十蘭
60分以内
一  しばらくね、というかわりに、左手を気取ったようすで頬にあて、微笑しながら、黙って立っている。
キャラコさん久生十蘭
60分以内
一  まだ十時ごろなので、水がきれいで、明るい海底の白い砂に波の動きがはっきり映る。
キャラコさん久生十蘭
60分以内
一  ……それは、三十四五の、たいへんおおまかな感じの夫人で、大きな蘭の花の模様のついたタフタを和服に仕立て、黄土色の無地の帯を胸さがりにしめているといったふうなかたです。
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