青空文庫で公開されている牧野信一の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
一刻も早く家へ帰り度い気持と、それとは反対に、どこかへ行つて見度いといふ気持――がその二つの心にのみ面接してゐたといふ程ではなく、ただその朧ろげな二つの気持を「空漠」とした白さが濡紙のやうにフワリと覆つて、つまり彼はその三つの心を蔵して歩いてゐた。