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5分以内で読める蔵原伸二郎の短編作品

青空文庫で公開されている蔵原伸二郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

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作品名著者読了時間人気
岩魚蔵原伸二郎
5分以内
岩魚 ――宋青磁浮紋双魚鉢―― 五月のあかるい昼さがり あまりに生の時間が重いので 私はひとり青磁の鉢を見ている 空いろの底に 二匹の岩魚が見えたりかくれたり すぎる風に水がゆれると 岩魚の背もかすかに紅いろに光る また 水底をよぎる遠い宋時代の雲 ながい時間のかげりをひいて 愁いの淵に岩魚は ねむり 時に目を醒まして はねると いつのまにか蒼天をおよいでいる 鮭 白い皿の上の 鮭の切身
蔵原伸二郎
5分以内
釣竿の影がうつつている この無限の中で 釣をする人は しつかり岩の上に坐つたまま ねむつている ねむつたまま竿をにぎつている 今日は川魚たちの祝祭日 みんな青い時間の流れにそつて さがつている針を 横目でにらみながら通りすぎる 今までどうにか生き残つた魚たちの 今日はお祭りなんだよ 先頭を行く逞しい雄のあとを 紅いろに着飾つた雌たちが 一列になつておよいでゆく 水底の砂にゆれる光る青空と白い雲
蔵原伸二郎
5分以内
めぎつね 野狐の背中に 雪がふると 狐は青いかげになるのだ 吹雪の夜を 山から一直線に 走つてくる その影 凍る村々の垣根をめぐり みかん色した人々の夢のまわりを廻つて 青いかげは いつの間にか 鶏小屋の前に坐つている 二月の夜あけ前 とき色にひかる雪あかりの中を 山に帰つてゆく雌狐 狐は みごもつている 黄昏いろのきつね 山からおりて来た狐が 村の土橋のあたりまでくると その辺の空気が
足跡蔵原伸二郎
5分以内
ずつと昔のこと 一匹の狐が河岸の粘土層を走つていつた それから 何万年かたつたあとに その粘土層が化石となつて足跡が残つた その足跡を見ると、むかし狐が何を考えて  走つていつたのかがわかる
岸辺蔵原伸二郎
5分以内
岸辺 冬の日がかんかん照つていた 川岸の枯草の中から首だけ出して 八十九歳の老人が釣をしていた 釣竿をもつたまま 水に映るちぎれ雲の間をおよぐ 冬の魚たちと昔話をしながら 老人は死んでいた ちかちかと 日はかたむいていた 一匹の紋白蝶が よたよたと向う岸に渡つていつた 魚たちが老人を呼んでいた 赤い小さなうきが かすかな波紋をおこして 沈んだり浮いたりしている 不在の人 山すその丘に 古
自序にかえて蔵原伸二郎
5分以内
はからずも権威ある読売文学賞を受賞して驚くとともに、たいへんうれしく思つています。
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