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蔵原伸二郎

『狐』は青空文庫で公開されている蔵原伸二郎の短編作品。1,260文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
1,260文字
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書出

めぎつね 野狐の背中に 雪がふると 狐は青いかげになるのだ 吹雪の夜を 山から一直線に 走つてくる その影 凍る村々の垣根をめぐり みかん色した人々の夢のまわりを廻つて 青いかげは いつの間にか 鶏小屋の前に坐つている 二月の夜あけ前 とき色にひかる雪あかりの中を 山に帰つてゆく雌狐 狐は みごもつている 黄昏いろのきつね 山からおりて来た狐が 村の土橋のあたりまでくると その辺の空気が

初出おぎつね「陽炎」1957(昭和32)年3月号<br> きつね「詩学」1955(昭和30)年10月号<br> 老いたきつね「花粉 第五号」1958(昭和33)年5月
底本近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎
表記
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