10分以内で読める宮本百合子の短編作品

人間として何か意味のある生活を生きぬきたいという極めて自然な望みと、現代の社会で私たちが生活して行かなければならないための生活の形というものとの間に、今日は実に深い矛盾がある。

毎朝きまった時間に目を醒す。

今日の雑誌ジャーナリズムは、大ざっぱにだけ眺めわたすと満目悉く所謂事変ものの氾濫である。

私たち一般人の日常生活の内外に相関連する社会的現実は、この二三年益々複雑多岐、錯綜、紛乱を極めて来ている。

この頃は朝早く出かけることが多くて、電車へのるところまで歩く間に、どっさり学生にすれちがう。

二ヵ月ばかり前の或る日、神田の大書店の新刊書台のあたりを歩いていたら、ふと「学生の生態」という本が眼に映った。

大雷雨大雷雨の空が夕焼のように赤らんでいるのを大変不思議に思いながら寝て、けさ新聞を見たら、落雷で丸之内の官衙が九つ灰燼に帰した出来ごとを知った。

出版にインフレーションという流行ことばが結びつけて云われたことは、おそらく明治以来例のないことだったのではなかろうか。

ラジオの生活性ラジオは誰でも毎日耳で聴いているものだ、ということについて、今日ラジオを送り出す方の側の人々は、どんな感覚をもっているのだろうか。

小学校は六年で卒業と私たちの頭に刻まれていた観念は、国民学校になると、八年制に改まる。

今日家庭というものを考える私たちの心持は、おのずから多面複雑だと思う。

すこし物ごとを真面目に考える今日の世代の若い人たちが、自分たちの結婚生活に入ろうとするとき、生涯向上する情熱を喪わない夫婦として生きたいと願わない人はおそらくないだろうと思う。

共学期待はずれた今度の内閣改造の中で僅かに生彩を保つのは安倍能成氏の文部大臣であるといわれる。

婦人の生活が頽廃しているということがいわれはじめて、暫くになった。

いよいよ、四月十日も迫って参りました。

総選挙はひとまず終った。

この半年ばかりのうちに、私たちの生活におこった変化は、日本のこれまでのいつの歴史にもその例がないほど、激しいものです。

これまでの日本の婦人は、よろこびも悲しみも自分のめぐり合わせとして孤立して生きて来た。

最近の統計によると、日本人の人口比率において婦人の人口が三百万ばかり男子人口よりも多くなっていることが示されました。

一年目で、また総選挙がはじまります。

こんにちは、五月一日、メーデーです。

日本の政府がポツダム宣言を受諾して、平和と民主の新しい人民の社会を日本に建設することを世界に向って約束してから今日まで、まる二年とすこしたちました。

十二月二十六日の午後、毎日新聞社から電話がかかって来た。

年の暮れに珍しくお砂糖の配給があった。

三度めのメーデーが来る。

いよいよきたる十二月十日から一週間北京でアジア婦人大会がひらかれます。

尊敬する宋慶齢夫人に。

みなさま。

都会の主婦も農村の主婦も、同じ女性であることに何のちがいがありましょう。

だいぶ古いことですが、イギリスの『タイムズ』という一流新聞の文芸附録に『乞食から国王まで』という本の紹介がのっていました。

婦人デーといえば、三月八日と誰でも知っていることではあるが、そのおこりは、どういうところからはじまったのだろう。

二三日前の夜、おそく小田急に乗った。

新聞に、憲法改正草案が発表されたとき、一番奇妙に感じたことは、「主権在民」と特別カッコの別見出しがつけられていたのに、天皇という項があって、その唯一人の者が九つの大権を与えられていることであった。

この社会に公明正大に生きてゆくためには、公私の別をよくわきまえていかなければならない。

去る四月一日の『大学新聞』に逸見重雄氏が「野呂栄太郎の追憶」という長い文章を発表した。

オーストリイのウィーン市のはずれに公園のように美しい墓地がある。

此の間から、いろいろの職場で働いている若い人達の気持にふれる機会を持ちました。

これまで、郵便切手というものは、私たちのつましい生活と深いつながりのある親しみぶかいものであった。

どんな作家でも、自分の書く本が立派にこしらえられ、そして見事に売れることをよろこびとする。

私達が生きてゆく間には、千変万化の波瀾をくぐる。

三・一五というと、今日では日本の解放運動史の上に、知らない人のない記念日となった。

皆様の現場録音を拝見して、きょうの真面目な若い女性の心持に同感いたしました。

メーデーからはじまって、五月は国民一般の祝日の多い月だった。

一九四九年の日本の夏は、勤労人民のすべてにとって、切実な生存擁護のためのたたかいの季節としてはじまった。

新聞週間がはじまって、しばらくしたら「新聞のゆくところ自由あり」という標語があらわれた。

日本に、言葉の正しい由緒にしたがっての、アカデミア、アカデミズムというものが在るのだろうか。

世界平和大会へ日本の代表は行くことができなかった。

この間、『サン』を見ていたら、福島県のどこかの村の結婚式の写真が出ていた。

一九五〇年度は、青少年の犯罪が一般の重大な関心をひいた。

三年前の五月、学生祭の日、この講堂は、甦った青春のエネルギーにみちあふれた数千の男女学生によって埋められました。