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5分以内で読める榎南謙一の短編作品

青空文庫で公開されている榎南謙一の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

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作品名著者読了時間人気
天瓜粉榎南謙一
5分以内
この兄が怖いか おぼつかなげな眼をおずおずさせて 母の胸にあとしざりする 久しぶりに会う兄は 柿いろの獄衣 その傍には 肉親の談話を書きとめている無表情の立会看守 世馴れた大人でさえ おびえるこのコンクリトの塀のなかへ よくやってきてくれた、妹よ 兄はそんなに痩せてはいないだろう ここでは 鰯が食える 豚肉のカレー汁が啜れる 痩せているのはお前だ このごろのごはんに眼立つのは黒い麦粒だけだろう
夜雲の下榎南謙一
5分以内
自動車が動揺すると 細引で縛られたまま 私たちの肩と肩とがごつんとあたる 争議は敗れた 送られる私たちは胸の苦汁をどうすることが出来たろう 「あちらでは吸えないんだぜ」 一本ずつもらった最後の煙草 言いようのない感慨とともに 蒼いけむりを腹の底までのみ でこぼこだらけの道路を揺られて行った やがて陽は墜ちたのか 道路にかぶさる青葉がだんだん翳ってくる うなだれている私たちは そのとき 道路のただ
無念女工榎南謙一
5分以内
お早うさん 昨夜の夢は? 故郷の庭には柘榴の花が散ってるだろう けさもまた やめて帰ろと思うたが 帯はあせたし 汽車賃なしではどうにもならぬ 爪をもがれた蟹のように 冷たい石畳みをヨチヨチと私たちは工場へはいる 今日もいちんち トタン塀の中で無自由だ! 渇いて 渇いて やりきれぬ トタン塀の外は たんぽぽが咲いて乳をながしたような上天気 町の活動小屋がラッパを吹いて廻るし 糸をつなぐ手がこんなに
農村から榎南謙一
5分以内
――よう戻って来た 娘の手を握りながら 両親は娘一人ふえたこれからの生活を考える 正月だと言って 餅を鱈腹食うて寝ては居れなかった 地主の塀からきこえる 景気のいい餅搗きの音に 餓鬼どもは咽喉をグウグウいわせて駄々をこねた お父うが鍬をかついで 裏口からコッソリ出かけようとしたとき お母あはどう言って泣いたか ――三ヵ日にようもまあ、仕事をするだ フウが悪うて……… 米の有り余る豊年に 百姓の納
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