天瓜粉
榎南謙一
『天瓜粉』は青空文庫で公開されている榎南謙一の短編作品。621文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 621文字 |
人気 | 0PV |
書き出し書出 | この兄が怖いかおぼつかなげな眼をおずおずさせて母の胸にあとしざりする久しぶりに会う兄は柿いろの獄衣その傍には肉親の談話を書きとめている無表情の立会看守世馴れた大人でさえおびえるこのコンクリトの塀のなかへよくやってきてくれた、妹よ兄はそんなに痩せてはいないだろうここでは鰯が食える豚肉のカレー汁が啜れる痩せているのはお前だこのごろのごはんに眼立つのは黒い麦粒だけだろう... |
初出 | 「詩精神」1934(昭和9)年9月号 |
底本 | 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二) |
表記 | 新字新仮名 |
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。