島崎藤村の全作品

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作品名著者読了時間文字数人気書き出し
破戒島崎藤村1時間〜205,241

この書の世に出づるにいたりたるは、函館にある秦慶治氏、及び信濃にある神津猛氏のたまものなり。

この書の世に出づるにいたりたるは、函館にある秦慶治氏、及び信濃にある神津猛氏のたまものなり。

夜明け前島崎藤村1時間〜208,195

序の章 一  木曾路はすべて山の中である。

序の章 一  木曾路はすべて山の中である。

若菜集島崎藤村60分以内21,198

こゝろなきうたのしらべは ひとふさのぶだうのごとし なさけあるてにもつまれて あたゝかきさけとなるらむ ぶだうだなふかくかゝれる むらさきのそれにあらねど こゝろあるひとのなさけに かげにおくふさのみつよつ そはうたのわかきゆゑなり あぢはひもいろもあさくて おほかたはかみてすつべき うたゝねのゆめのそらごと 一 秋の思   秋 秋は来ぬ   秋は来ぬ 一葉は花は露ありて 風の来て弾く

こゝろなきうたのしらべは ひとふさのぶだうのごとし なさけあるてにもつまれて あたゝかきさけとなるらむ ぶだうだなふかくかゝれる むらさきのそれにあらねど こゝろあるひとのなさけに かげにおくふさのみつよつ そはうたのわかきゆゑなり あぢはひもいろもあさくて おほかたはかみてすつべき うたゝねのゆめのそらごと 一 秋の思   秋 秋は来ぬ   秋は来ぬ 一葉は花は露ありて 風の来て弾く

千曲川のスケッチ島崎藤村1時間〜82,788

序  敬愛する吉村さん――樹さん――私は今、序にかえて君に宛てた一文をこの書のはじめに記すにつけても、矢張呼び慣れたように君の親しい名を呼びたい。

序  敬愛する吉村さん――樹さん――私は今、序にかえて君に宛てた一文をこの書のはじめに記すにつけても、矢張呼び慣れたように君の親しい名を呼びたい。

新生島崎藤村1時間〜338,776

[#ページの左右中央] 序の章 [#改ページ] 一 「岸本君――僕は僕の近来の生活と思想の断片を君に書いて送ろうと思う。然し実を言えば何も書く材料は無いのである。黙していて済むことである。君と僕との交誼が深ければ深いほど、黙していた方が順当なのであろう。旧い家を去って新しい家に移った僕は懶惰に費す日の多くなったのをよろこぶぐらいなものである。僕には働くということが出来ない。他人の意志の

[#ページの左右中央] 序の章 [#改ページ] 一 「岸本君――僕は僕の近来の生活と思想の断片を君に書いて送ろうと思う。然し実を言えば何も書く材料は無いのである。黙していて済むことである。君と僕との交誼が深ければ深いほど、黙していた方が順当なのであろう。旧い家を去って新しい家に移った僕は懶惰に費す日の多くなったのをよろこぶぐらいなものである。僕には働くということが出来ない。他人の意志の

藤村詩抄島崎藤村1時間〜41,609

自序 若菜集、一葉舟、夏草、落梅集の四卷をまとめて合本の詩集をつくりし時に  遂に、新しき詩歌の時は來りぬ。

自序 若菜集、一葉舟、夏草、落梅集の四卷をまとめて合本の詩集をつくりし時に  遂に、新しき詩歌の時は來りぬ。

夜明け前島崎藤村60分以内12,469

第八章        一 「もう半蔵も王滝から帰りそうなものだぞ。」  吉左衛門は隠居の身ながら、忰半蔵の留守を心配して、いつものように朝茶をすますとすぐ馬籠本陣の裏二階を降りた。

第八章        一 「もう半蔵も王滝から帰りそうなものだぞ。」  吉左衛門は隠居の身ながら、忰半蔵の留守を心配して、いつものように朝茶をすますとすぐ馬籠本陣の裏二階を降りた。

夜明け前島崎藤村60分以内23,585

第一章        一  円山応挙が長崎の港を描いたころの南蛮船、もしくはオランダ船なるものは、風の力によって遠洋を渡って来る三本マストの帆船であったらしい。

第一章        一  円山応挙が長崎の港を描いたころの南蛮船、もしくはオランダ船なるものは、風の力によって遠洋を渡って来る三本マストの帆船であったらしい。

夜明け前島崎藤村1時間〜105,904

第八章        一   母刀自の枕屏風に いやしきもたかきもなべて夢の世をうら安くこそ過ぐべかりけれ 花紅葉あはれと見つつはるあきを心のどけくたちかさねませ おやのよもわがよも老をさそへども待たるるものは春にぞありける  新しく造った小屏風がある。

第八章        一   母刀自の枕屏風に いやしきもたかきもなべて夢の世をうら安くこそ過ぐべかりけれ 花紅葉あはれと見つつはるあきを心のどけくたちかさねませ おやのよもわがよも老をさそへども待たるるものは春にぞありける  新しく造った小屏風がある。

桃の雫島崎藤村1時間〜93,686

六十歳を迎へて  年若い時分には、私は何事につけても深く/\と入つて行くことを心掛け、また、それを歡びとした。

六十歳を迎へて  年若い時分には、私は何事につけても深く/\と入つて行くことを心掛け、また、それを歡びとした。

家島崎藤村1時間〜128,870

一  橋本の家の台所では昼飯の仕度に忙しかった。

一  橋本の家の台所では昼飯の仕度に忙しかった。

山家ものがたり島崎藤村30分以内8,033

空に出でゝ星くずの明かにきらめくを眺むれば、おのれが心中にも少さき星のありて、心の闇を照すべしと思ふなり。

空に出でゝ星くずの明かにきらめくを眺むれば、おのれが心中にも少さき星のありて、心の闇を照すべしと思ふなり。

死の床島崎藤村10分以内3,619

「柿田さん、なんでもかんでも貴方に被入しつて頂くやうに、私が行つて院長さんに御願ひして来て進げる――左様言つて、引受けて来たんですよ。」  流行の服装をした女の裁縫師が、あの私立病院の応接間で、日頃好きな看護婦の手を執らないばかりにして言つた。

「柿田さん、なんでもかんでも貴方に被入しつて頂くやうに、私が行つて院長さんに御願ひして来て進げる――左様言つて、引受けて来たんですよ。」  流行の服装をした女の裁縫師が、あの私立病院の応接間で、日頃好きな看護婦の手を執らないばかりにして言つた。

桜の実の熟する時島崎藤村1時間〜112,851

[#ページの左右中央] 思わず彼は拾い上げた桜の実を嗅いで見て、お伽話の情調を味った。

[#ページの左右中央] 思わず彼は拾い上げた桜の実を嗅いで見て、お伽話の情調を味った。

灯火島崎藤村30分以内7,148

飯島夫人――栄子は一切の事を放擲する思をした後で、子供を東京の家の方に残し、年をとつた女中のお鶴一人連れて、漸く目的とする療養地に着いた。

飯島夫人――栄子は一切の事を放擲する思をした後で、子供を東京の家の方に残し、年をとつた女中のお鶴一人連れて、漸く目的とする療養地に着いた。

犬島崎藤村30分以内4,306

此節私はよく行く小さな洋食屋がある。

此節私はよく行く小さな洋食屋がある。

嵐島崎藤村1時間〜36,964

子供らは古い時計のかかった茶の間に集まって、そこにある柱のそばへ各自の背丈を比べに行った。

子供らは古い時計のかかった茶の間に集まって、そこにある柱のそばへ各自の背丈を比べに行った。

北村透谷の短き一生島崎藤村30分以内8,272

北村透谷君の事に就ては、これまでに折がある毎に少しずつ自分の意見を発表してあるから、私の見た北村君というものの大体の輪廓は、已に世に紹介した積りである。

北村透谷君の事に就ては、これまでに折がある毎に少しずつ自分の意見を発表してあるから、私の見た北村君というものの大体の輪廓は、已に世に紹介した積りである。

三人の訪問者島崎藤村10分以内3,172

「冬」が訪ねて来た。

「冬」が訪ねて来た。

訪西行庵記島崎藤村5分以内1,245

はらからと袂を分ち、むつましきかぎりに別れをつげて、たゞ/\ものくるはしき一筋にうかれそめ、難波西海のあたりをさまよふこと二月あまり、菅笠の破れたるをいたゞき、身には合羽のふりたるを着し、おもくるしき旅の調度ども前後に背負ひたるさま、まことに怪しき姿して、ことし三月十四日吉野山西行庵に上人の木像を驚かす。

はらからと袂を分ち、むつましきかぎりに別れをつげて、たゞ/\ものくるはしき一筋にうかれそめ、難波西海のあたりをさまよふこと二月あまり、菅笠の破れたるをいたゞき、身には合羽のふりたるを着し、おもくるしき旅の調度ども前後に背負ひたるさま、まことに怪しき姿して、ことし三月十四日吉野山西行庵に上人の木像を驚かす。

雪の障子島崎藤村5分以内1,345

めずらしいものが降った。

めずらしいものが降った。

ある女の生涯島崎藤村1時間〜32,266

おげんはぐっすり寝て、朝の四時頃には自分の娘や小さな甥なぞの側に眼をさました。

おげんはぐっすり寝て、朝の四時頃には自分の娘や小さな甥なぞの側に眼をさました。

山陰土産島崎藤村1時間〜52,485

一 大阪より城崎へ  朝曇りのした空もまだすゞしいうちに、大阪の宿を發つたのは、七月の八日であつた。

一 大阪より城崎へ  朝曇りのした空もまだすゞしいうちに、大阪の宿を發つたのは、七月の八日であつた。

食堂島崎藤村60分以内16,122

お三輪が東京の方にいる伜の新七からの便りを受取って、浦和の町からちょっと上京しようと思い立つ頃は、震災後満一年にあたる九月一日がまためぐって来た頃であった。

お三輪が東京の方にいる伜の新七からの便りを受取って、浦和の町からちょっと上京しようと思い立つ頃は、震災後満一年にあたる九月一日がまためぐって来た頃であった。

出発島崎藤村60分以内18,218

時計屋へ直しに遣つてあつた八角形の柱時計が復た部屋の柱の上に掛つて、元のやうに音がし出した。

時計屋へ直しに遣つてあつた八角形の柱時計が復た部屋の柱の上に掛つて、元のやうに音がし出した。

突貫島崎藤村30分以内8,354

……………………………………………………………………………………………………………………………………………私は今、ある試みを思ひ立つて居る。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………私は今、ある試みを思ひ立つて居る。

芭蕉島崎藤村30分以内5,869

佛蘭西の旅に行く時、私は鞄の中に芭蕉全集を納れて持つて行つた。

佛蘭西の旅に行く時、私は鞄の中に芭蕉全集を納れて持つて行つた。

岩石の間島崎藤村1時間〜27,241

懐古園の城門に近く、桑畠の石垣の側で、桜井先生は正木大尉に逢った。

懐古園の城門に近く、桑畠の石垣の側で、桜井先生は正木大尉に逢った。

旧主人島崎藤村1時間〜35,342

一  今でこそ私もこんなに肥ってはおりますものの、その時分は瘠ぎすな小作りな女でした。

一  今でこそ私もこんなに肥ってはおりますものの、その時分は瘠ぎすな小作りな女でした。

並木島崎藤村30分以内9,457

近頃相川の怠ることは会社内でも評判に成っている。

近頃相川の怠ることは会社内でも評判に成っている。

路傍の雑草島崎藤村5分以内1,495

学校の往還に――すべての物が白雪に掩はれて居る中で――日の映つた石垣の間などに春待顔な雑草を見つけることは、私の楽しみに成つて来た。

学校の往還に――すべての物が白雪に掩はれて居る中で――日の映つた石垣の間などに春待顔な雑草を見つけることは、私の楽しみに成つて来た。

刺繍島崎藤村30分以内9,980

ふと大塚さんは眼が覚めた。

ふと大塚さんは眼が覚めた。

家島崎藤村1時間〜144,224

一  橋本の正太は、叔父を訪ねようとして、両側に樹木の多い郊外の道路へ出た。

一  橋本の正太は、叔父を訪ねようとして、両側に樹木の多い郊外の道路へ出た。

分配島崎藤村60分以内17,673

四人もある私の子供の中で、亡くなった母さんを覚えているものは一人もない。

四人もある私の子供の中で、亡くなった母さんを覚えているものは一人もない。

伊香保土産島崎藤村10分以内3,488

にはかに思ひ立つて伊香保まで出掛けた。

にはかに思ひ立つて伊香保まで出掛けた。

婦人の笑顔島崎藤村5分以内622

古人の言葉に、 「おふくは、鼻の低いかはりに、瞼が高うて、好いをなごじやの、なんのかのとて、いつかいお世話でござんす。」  これは、名高い昔の禅僧が残した言葉で、おふくが文を持つ立姿の図に、その画賛として書かれたものであるといふ。

古人の言葉に、 「おふくは、鼻の低いかはりに、瞼が高うて、好いをなごじやの、なんのかのとて、いつかいお世話でござんす。」  これは、名高い昔の禅僧が残した言葉で、おふくが文を持つ立姿の図に、その画賛として書かれたものであるといふ。

装釘に就て島崎藤村10分以内2,523

近頃出した『千曲川のスケツチ』は装釘としては、宜い案です。

近頃出した『千曲川のスケツチ』は装釘としては、宜い案です。

再婚について島崎藤村5分以内1,668

神坂も今は秋の収穫でいそがしくもまた楽しい時と思います。

神坂も今は秋の収穫でいそがしくもまた楽しい時と思います。

足袋島崎藤村5分以内1,293

「比佐さんも好いけれど、アスが太過ぎる……」  仙台名影町の吉田屋という旅人宿兼下宿の奥二階で、そこからある学校へ通っている年の若い教師の客をつかまえて、頬辺の紅い宿の娘がそんなことを言って笑った。

「比佐さんも好いけれど、アスが太過ぎる……」  仙台名影町の吉田屋という旅人宿兼下宿の奥二階で、そこからある学校へ通っている年の若い教師の客をつかまえて、頬辺の紅い宿の娘がそんなことを言って笑った。

朝飯島崎藤村10分以内2,950

五月が来た。

五月が来た。

烏帽子山麓の牧場島崎藤村10分以内2,840

水彩畫家B君は歐米を漫遊して歸つた後、故郷の根津村に畫室を新築した。

水彩畫家B君は歐米を漫遊して歸つた後、故郷の根津村に畫室を新築した。

伊豆の旅島崎藤村30分以内11,763

汽車は大仁へ着いた。

汽車は大仁へ着いた。

幼き日島崎藤村1時間〜42,267

一  私の子供が初めて小學校へ通ふやうに成つた其翌日から、私は斯の手紙を書き始めます。

一  私の子供が初めて小學校へ通ふやうに成つた其翌日から、私は斯の手紙を書き始めます。

短夜の頃島崎藤村10分以内2,207

毎日よく降つた。

毎日よく降つた。

秋草島崎藤村10分以内2,171

過日、わたしはもののはじに、ことしの夏のことを書き添えるつもりで、思わずいろいろなことを書き、親戚から送って貰った桃の葉で僅かに汗疹を凌いだこと、遅くまで戸も閉められない眠りがたい夜の多かったこと、覚えて置こうと思うこともかなり多いと書いて見た。

過日、わたしはもののはじに、ことしの夏のことを書き添えるつもりで、思わずいろいろなことを書き、親戚から送って貰った桃の葉で僅かに汗疹を凌いだこと、遅くまで戸も閉められない眠りがたい夜の多かったこと、覚えて置こうと思うこともかなり多いと書いて見た。