青空文庫の全作品

この講座でわたしの受けもちは「文学と生活」である。

わたしは、もう久しい間、いつかはそのような仕事もしてみたいと思っている一つのたのしみがある。

いまはもう鹿児島県に入らない土地となった奄美大島の徳之島という島から十二歳の少女が収容船にのって国立癩療養所星塚敬愛園にはいって来た。

去年の暮、福田恆存は、一九四九年を通観して、「知識人の敗北」の年と概括をした。

去年おしつまってから肉体派小説、中間小説の作者と一部の作家・批評家との間に、ちょっとしたやりとりがあって注目をひいた。

こんにち、私たちの生活感情の底をゆすって、一つのつよい要求が動いている。

東京新聞七月三十一日号に、火野葦平の「文芸放談」第二回がのっている。

こんにち、わたしたちがふたたび純潔ということについて語るとすれば、それは、どんな新しい人間精神の欲求からのことだろう。

漱石全集第十三巻のなかほどに「私の個人主義」という漱石の講演速記が収められている。

いたるところで、現代文学の停滞が意識され、語られている。

日本の現代文学は、もっともっと、われわれの生きている現実の歴史の深さ、鋭さ、はげしさにふさわしい文学精神と方法との上に立て直されなければならない。

十篇の応募作品をよんだ。

過日『仰日』ならびに『檜の影』会からお手紙を頂き重ねてあなたからのお手紙拝見いたしました。

一九四九年の春ごろから、ジャーナリズムの上に秘史、実録、実記と銘をうたれた記録ものが登場しはじめた。

「道標」は、「伸子」から出発している「二つの庭」の続篇として、一九四七年の秋から『展望』誌上にかきはじめた。

黎明［＃「黎明」はゴシック体］（一八六〇―一九〇〇）一八六八年、フランス資本主義に後援されていた徳川幕府の最後の抵抗がやぶれた。

忘れもしない、あれは大正五年十月なかばの或（あ）る夜のことであつた。

私はお話致します前に、お斷はり致して置きたいのは、一體私は日本歴史の專攻者でありませんので、今までお話になつた三人の方のやうに、皆日本のことを專門に研究して居られるのとは一寸別だといふことであります。

大阪の町人の學問については、豫て私の友人幸田成友君などが隨分精細な調べをされて、大阪市史にも載せられて居るから、私が茲に語らんとする所は、大阪の町人と學問との關係について、私一個の考察を申述べるに過ぎない。

いづれの世でも革命の際は必ず陰謀がこれに伴ふ。

第緒言天津教古文書の批判に先だち、私は如何なる因縁で天津教の存在を知つたか、又如何なる必要あつて其古文書を批判するか、この二點に就いて説明して置きたい。

邪宗縁起十四の乙女久田姫は古い物語を読んでいる。

「お侍様というものは……」女役者の阪東小篠は、微妙に笑って云ったものである。

美しき脛（すね）いちばん明るい窓の下で、毛脛を撫でているところへ、例によって案内も乞わず、友人の鳴海三郎がぬっと入ってきた。

密林荘で、熊井青年が自殺したという事件が、例の有名な旗田警部のところへ廻されて来た。

プロローグその朝、帆村荘六が食事をすませて、廊下づたいに同じ棟にある探偵事務所の居間へ足を踏み入れたとき、彼を待っていたように、机上の電話のベルが鳴った。

やがて四月の声を聞こうというのに、寒さはきびしかった。

報告（ウルトラマリン第一）ソノ時オレハ歩イテヰタソノ時外套ハ枝ニ吊ラレテアツタカ白樺ノヂツニ白イソレダケガケワシイ冬ノマン中デ野ツ原デソレガ如何シタソレデ如何シタトオレハ吠エタ≪血ヲナガス北方ココイラグングン密度ノ深クナル北方ドコカラモ離レテ荒涼タルウルトラマリンノ底ノ方ヘ――≫暗クナリ暗クナツテ黒イ頭巾カラ［＃「頭巾カラ」は底本では「頭吊カラ」］舌ヲダシテヤタラ羽搏イテヰル不明ノ顔々ソ...

私が未だ十九歳の頃であつた。

無理に呼び起された不快から、反抗的に、一寸の間目を見開いて睨（にら）むやうに兄の顔を見あげたが、直ぐ又ぐたりとして、ヅキンヅキンと痛む顳※（こめかみ）を枕へあてた。

「お前は弟達をちつとも可愛がつてやらない。

地球照ある七日の月が、海峡の西にかかって、岬の黒い山々が雲をかぶってたゞずめば、そのうら寒い螺鈿の雲も、またおぞましく呼吸するそこに喜歌劇オルフィウス風の、赤い酒精を照明し、妖蠱奇怪な虹の汁をそゝいで、春と夏とを交雑し水と陸との市場をつくる……………………きたわいなつじうらはっけがきたわいなオダルハコダテガスタルダイト、ハコダテネムロインデコライトマオ...

もう三、四カ月も前であったと思うが、偶然の機会に、木村八段の将棋講座のラジオ放送を聞いた。

資本主義体制に対する社会主義体制の優越性が今日ほど明瞭になったことはない。

時代の第一線に立たんとする青年大衆はいかなる準備を必要とするか質問（Ａ）［＃「（Ａ）」は縦中横］貴下が、現在の職業にはいられた理由、もしくは動機質問（Ｂ）［＃「（Ｂ）」は縦中横］貴下関係の職業に進まんとする青年は、特にいかなる資格を必要とするか質問（Ｃ）［＃「（Ｃ）」は縦中横］貴下の職業で特に楽しいこと、特に苦しいことはいかなることかＡ・植民地の一開拓者の子として生まれた私は、幼時から、一方では労働の尊さを、そして他方では資本の原始的蓄...

世界経済恐慌の発展は全資本主義体制の、従ってまた日本資本主義制度の根底を揺り動かしている。

温かい酒、温かい飯、温かい女の情味も畢竟（ひっきょう）、夢でありました。

最近自分の生活の上に起った重大な変動は、種々な点で自分の経験を深めて呉れたと同時に、心に触れる対象の範囲をも亦広めて呉れた。

是非を超えた最後の手段として離婚は認めなければなりません。

最近、計らずも身辺近く見た或る婦人の境遇が、自分に種々の事を考えさせました。

若し、今日の議会に、真実な価値と信頼とを認め得るとしたら、婦人の提出したい、第一の問題は、婦人参政権、法律的独立人格の承認に関してであると思います。

この事は、私によくわかりません。

法制会が、婦人参政権の問題を否決したのは、さまで意外なことではありません。

結婚――妻としての生活を有する女性、又は母として家庭生活の必然を持つ女性と職業との関係は、理想に於て如何あるべきか。

恋愛は、実に熱烈で霊感的な畏ろしいものです。

服装に就いての趣味と云っても、私は着物の通人ではないから、あれがいいとか、こんな色合は悪いとかは云えない。

今日、東京朝日新聞を見たら、フトこういう記事に目がとまりました。

これは、いかにもひま人らしい質問です。

町の本屋の店さきを見ると、ハデな表紙の婦人雑誌が山ほどつまれています。

去年の秋、日本プロレタリア作家同盟はその中央常任委員会に属する一つの文学的活動機能として婦人委員会を設けた。