宮本百合子の全作品

三月六日の日曜日に『働く婦人』発刊記念の夕べを催したことは、読者のみなさんが三月号の『働く婦人』にのった広告によっても承知していられることです。

みなさん、しばらくでした。

ブル新が支配階級の道具であって、彼らの利益を守るように記事に事実でないことを書くことは、今度の共産党エロ班などということに実によく現れていると思います。

今私たちの前には、その事件が当事者の愛の純情に発しているという意味で人の心を打った二つの現象が示されている訳ですが、私は松本伝平氏の場合と弓子さんの場合とは、それぞれ別のもので、違った分析がされなければならないものではなかろうかと考えます。

古いころから文学に関し、或はエレン・ケイの思想紹介に関し、様々の文化的活動をされた本間さんのお家で、そのお嬢さん達が友達をも交えて、親御さんをもともに座談会をもたれたという事は、私に何か印象を与えた。

銀座の通りを歩いていたらば、一つの飾窓の前に人だかりがしている。

現実を、その様々な相互関係、矛盾の内外につき入って具体的に理解する実力、そしてそれらの間に在る自身の居り場所とその意味を把握して生きる力を教養であるとして考えて見ると、今日の日本の新聞は、そういう意味では一般に女性の教養を高める役には大して立っていないのではないかと思う。

一般の婦人の勤労生活と毎月の生理的変化との関係が、新らしい注意で見られることは実によいと思う。

先日はどうも失礼。

暑い日に、愛らしく溌剌とした若い娘たちが樹かげにかたまって立って、しきりに何か飲みたがっている。

日本原理の上に樹つ新日本諸学を建設し、全国民に日本文化の神髄を深く自覚せしめるための日本文化中央連盟が、松本学氏などを中心として実業家、役人、学校経営者などによって結成された。

近代企業としての映画は、経営の上にも技術の上にも急速な発達をとげているのだが、映画に扱われている女の生活というものは一様にある水準に止まっている。

このかいわいは昼も夜もわりあいに静かなところである。

千人針の女のひとたちが街頭に立っている姿が、今秋の文展には新しい風俗画の分野にとり入れられて並べられている。

私たちのまわりには何と沢山の本があることだろう。

ある種の人々にとって、恋愛はそう大した人生の問題でなく感じられているかもしれない。

どんな育児の本も、必ずとり落しなく触れている一つのことがあります。

私の不幸というものについて書くように云われると、何となし当惑したような咄嗟（とっさ）の心持になるのは、私ひとりのことだろうか。

雨の往来から、くらい内部へ入って行ったら正面の銀幕に、一つ大きいシャンデリアが映し出されていた。

自分ひとりの生活をなんとかして一度やって見たいと思っている一方、それを反省し家庭にいるべきだと迷っている人が多いのですが――。

先頃、友情というものについてある人の書かれた文章があった。

世の中が急に動いてゆく。

私たちの毎日の生活の間では、文化という言葉と文明という言葉とがある時には同じ内容をもつ表現のようにつかわれている場合があり、そうかと思うと文化文明と二つの文字を重ねてその間におのずから異った意味がふくまれているものとして使われている場合がある。

女らしさというものについて女自身はどう感じてどんなに扱っているのだろうか。

何年ぶりかで珍しく上野の図書館へ行った。

よく、あの人は常識があるとか、常識がないとかいう。

男にとっても女にとっても結婚がむずかしい時代になって来ている。

人間には誰でも自分のことが一番面白いのだということがよくいわれている。

数人の若い女のひとたちが円く座って喋っている。

幸福というものについて、おそらく人間は永久に考えるだろうと思う。

このごろの若い娘さんたちはどんな心持で、何を求めて暮しているだろう。

コフマンの「科学の学校」が、神近市子の翻訳で実業之日本社から出版された。

私たちのまわりでは、よく、自信があるとか、自信がないとかいう表現がされる。

昔から女にもとめられている日常の美徳の一つに、ものわかりのよさ、ということがある。

あらゆる面で婦人の読者がふえてきているのが、この頃の日本のありさまだと思う。

作家や評論家というものが、女の生活についてどういう考えかたをしているかということは、一応わかりやすいことのようで案外めいめいにとってもわかりやすくない部分を内部にもっているのではないだろうか。

どんなひとも、贅沢がいいことだと思っていないし、この数年間のように多数の人々が刻苦して暮しているのに、一部の人ばかりがますます金銭を湯水のようにつかう有様を目撃していれば、いい気持のしないのは自然だと思う。

来年という声は、今日の日本のみんなに独特の感じを与えながら迫ってきた。

この頃いったいに女のひとの身なりが地味になって来たということは、往来を歩いてみてもわかる。

この頃は、女のひと、という響につれて、すぐに人の心に何かの意味で、働いている女のひとという感じが浮ぶようになって来ていると思う。

私たちの日々の生活というものは、極めて現実なものであって、どんなひとでも、その人々の生きている時代とその人の生活の属している社会環境とから離れて生活を持つということはない。

婦人と科学「日本の科学」ということがこの頃世人の注目をひいている。

私たち日本の女性は、これまでの歴史の中で、はたしてどんな政治的な経験と呼ばれるものをうけついで来ているのだろうか。

十一月のお祭りのうちのある午後、用事で銀座へ出かけていたうちの者が、帰って来て、きょうは珍しいものを見たの、といった。

随分昔のことであるけれども、房州の白浜へ行って海女のひとたちが海へ潜って働くのや天草とりに働く姿を見たことがあった。

今年はどんな一年として私たちに経験されてゆくだろう。

異性との間の友情の可能やその美しさなどについてより多くさまざまに思い描くのが常に女性であるということについて、私たちはどう考えたらいいのだろうか。

今日いろいろの職場に働いている若い婦人たちはただ自分たちがそうやって毎日勤めに出て働いているということにだけ誇りを感じているような単純な心で社会を見てはいない。

十二月十七日から三日の間に行われた協力会議で、婦人の問題で高良富子さんが、婦人局の設置の案を提出した。

ここに一枚のスケッチがある。