5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
|---|---|---|---|
| わが画 | 末吉安持 | 5分以内 | |
思はずも筆はしり 忽ちに画は成りぬ。 | |||
| 今年の抱負 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
元旦の朝はその一年というものが非常に長いように思われる。 | |||
| 最初の印象 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
江戸川先生に始めてお目にかかったのはもう二十年近くも前のことです。 | |||
| 素晴しい記念品 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
フランスの片田舎に一人の科学者があった、年はもう五十に近いが独身で、兄弟もなく、友達もなく、淋しい孤独生活であった。 | |||
| アンケート | 大倉燁子 | 5分以内 | |
ハガキ回答 ※☆読者、作家志望者に読ませたき本、一、二冊を御挙げ下さい。 | |||
| 蘭郁二郎氏の処女作 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
「探偵文学」誌上で発表された時、非常な好評を博した蘭郁二郎氏の「夢鬼」がこの度上梓された。 | |||
| 笛と太鼓 | 室生犀星 | 5分以内 | |
子供ができてから半年ほど経つと、国の母から小包がとどき、ひらいてみると、小さい太鼓と笛とが入つてあつた。 | |||
| 遠州地方の足洗 | 喜田貞吉 | 5分以内 | |
徳川時代の法制では、エタは非人の上に立って、これを支配監督する地位にいたのではあるが、非人には通例足を洗うて素人に成ることが出来るという道が開いていたのに反して、エタには殆どこれが認められてないのが普通であった。 | |||
| さびし | 山口芳光 | 5分以内 | |
吾は思ふ 淋しさを 吾は思ふ 愛の淋しきを 吾は思ふなり 母の愛を 吾は思ふなり 友の愛を ああ いかなる縁あればぞ 母、吾を生み いかなる縁あればぞ 君又吾と知り 今吾が為に かくも真心もて看護の氷嚢など取り返へゐるぞ 吾は思ふなり 愛の淋しきを 吾は思ふなり 大空の寂寥を ああ 淋し淋し いかなればぞ 母、吾を愛し いかなればぞ 友、吾を愛す | |||
| 高館 | 森川義信 | 5分以内 | |
高館に登りて見れば 小糠雨烟りて寒く 朽ちかけし家のほとりの 高き木に鳴く蝉かなし 苔かほる古き木に倚り その昔の人をしのべど 木々に吹く風も寂しく 消えて行く思ひ儚し 遠山の淡くけむりて 北上は北の果より その昔の夢を語らず うね/\とうねりて流る 故郷を遠くはなれて 旅に見る夢跡かなし 生ひ繁る草木の緑 高館に吹く風寒し | |||
| 霙の中 | 森川義信 | 5分以内 | |
妹よ あの跫音は何であらう 喪はれた美しい日々の歌声ではない 今日も夕暮近い霙の中を通つてよ 怖ろしい鴉の黒い群であらうか 散薬の重いしめりに病み呆けた わたしの胸にやつて来て わたしの肋骨をこつこつとたたく 何であらう 妹よ お前さへ居ない此の部屋を こつこつとたたくのは いつたい何であらう 霙のやうに冷たい死の掌か―― 霙のふる夕暮は 霙のふる夕暮に似て さびしい私の若さ・いのちであるのだ 妹 | |||
| 巽軒先生喜寿の祝辞 | 中島徳蔵 | 5分以内 | |
私はまだ郷の中學に居た頃に、始めて先生の「心理新説」を讀んだ。 | |||
| 習作 | 森川義信 | 5分以内 | |
1 テラアスにちかい海の日は アメシストの鏡から水もながれる だから 頬をみがけぼくのアリサ 葉ざくらのかげでお前は青い花だ 2 ハアプがながれてゐる月夜 葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがいつぱい 歌のやうにぬれたこころを こほろぎがくすぐりはじめる | |||
| 衢 | 森川義信 | 5分以内 | |
よりそふ暇もなく こみあげる約束はうばはれていつた 疲れのやうに 吃つてゐる炎よ くづれる愛をさらに踏みしめ 時間のかげに身をこがしても じぶんの力で倒れかかり 義足よ 記憶は埋れ 虚しい体温から すべての言葉はかへらない いまは とざされた扉も消え 匂ひににた沈黙もなく 夜の静脉がかなしく映えてゐる | |||
| 季節抄 | 森川義信 | 5分以内 | |
葩束を編みながら美しく羞むひとよ 夕べバルコンの影の跫音の言葉なら はるかな愛情も匂ふでせう ★ 梢に鴉の喪章はゐない*** 新しいアアチの青貝路にペンキの響き 自転車で春の帽子がかけてくる ★ 樹樹の梯子を登りをりして歌ふものたち*** 花に飾られた日射しの緑のブランコの 優しい肩にのりあなたは空まで駈けあがる ★ 雲がじぶんでドアをあける 光りにまじつて小鳥の声もおちて | |||
| 春 | 森川義信 | 5分以内 | |
風船にひつぱられて 小鳥は中空たかくのぼつていつた 風船はくるめく日傘をまはし あたたかな銀の雨を降らした 小鳥はむしやうにうれしくなり 力いつぱいそのすずを鳴らした それにしても風船にのれない重たい心――ぼくは丘のクツサンの中でじたばたする あばらに生えた青麦の芽をむしりながら | |||
| 断章 | 森川義信 | 5分以内 | |
おほくの予感に充ち おまへの皮膚にはとどかず はるかに高い所を わたつた あの鋭い動きさへ 速かに把へたのに 精神よ 季節は錆だ 新しい時へ 歩みを移すこともできず 灰は灰に 石は石に還つた しかし それらの冷やかさを 身をもつて感じてゐることは もつと不幸だつた | |||
| 雨の出発 | 森川義信 | 5分以内 | |
背中の寒暖計に泪がたまる 影もないドアをすぎて 古びた時間はまだ叩いてゐる あれは樹液の言葉でもない 背中の川を声だけで帰つてゆくものたち | |||
| 蠅 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
真黒なす蠅の一とむれ あざれたる肉あさり 夜昼のけちめもわかず 己が身しかてをもとめぬ、 はづかなる命つがんと。 | |||
| 馬車 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
炭俵載せたる馬車は やや高き坂にかかりぬ、 そを馭する人は肝やみ くるしげにむちをば振ふ。 | |||
| 室内 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
垣間見ぬ君が室内 明日来むと云いし其の日に 待てど君姿は見ゑず 我心苛苛しさに 垣間見ぬ君が室内 | |||
| 都の話 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
浪笛兄のふるさとを読み同じ趣向を例の小曲にて試みたるが「都の話」一篇 母は問ふ都の話 馬車、電車、宮城門の 楠公の御像の雄姿 又問ひぬ、上野パノラマ、 動物園浅草菩薩。 | |||
| 新・平家物語 | 吉川英治 | 5分以内 | |
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。 | |||
| レポーター | 長沢佑 | 5分以内 | |
夜の十一月 北国はもう冬の寒さだ 硝子屑のような鋭い空ッ風が 日本海を越えて吹いて来る 荒涼とした夜の越後平野に 点々とみえるにぶい灯 あれはみんな仲間の住家だ 革命記念日の闘争を前に ヨビ検の魔の手を逃れ 移動事務所を此処に持った二人の書記 今日で四日の穴居生活だ 沈黙の中に一切の準備は終り 武装された兵士は 現在―― 戦いの野に旅たたんとしている そとは夜更けだ 野末を渡る夜烏の声 全神経 | |||
| 蕗のとうを摘む子供等 | 長沢佑 | 5分以内 | |
三月の午後 雪解けの土堤っ原で 子供らが蕗のとうを摘んでいる やせこけたくびすじ 血の気のない頬の色 ざるの中を覗き込んで 淋しそうに微笑んだ少女の横顔のいたいたしさ おお、飢えと寒さの中に 今も凶作地の子供達は 熱心に蕗のとうを摘んでいる 子供等よ! お前らの兄んちゃんは 何をして警官に縛られたのか 何の為に満洲へ送られて行ったのか 姉さん達はどうして都会から帰って来たのか お前らは知って | |||
| 貧農のうたえる詩 | 長沢佑 | 5分以内 | |
春―― 三月―― 薄氷をくだいて おらあ田んぼを打った めっぽー冷こい水だ 足が紫色に死んで居やがる 今日は初田打 晩には一杯飲めるべーと気付いたので おらあ勇気を出した ベッー※ 手に唾をひっかけて鍬の柄をにぎった だがやっぱりだめ 手がかじかんで動かない ちきしょう おらあやっぱり小作人なんだ それから夏が来た 煮えかかるような田の中で 俺達は除草機の役をする 十日も続く 指の先から血が滲む | |||
| 季節 | 森川義信 | 5分以内 | |
葉ざくらの蔭が青い硝子の花になり アメシストの鏡から水も流れてゐたな 若い従妹たちの髪を歌のやうに洗つてゐたな | |||
| 板垣先生の銅像を拝して | 槙村浩 | 5分以内 | |
(一)たそがれ告ぐる鐘の音に 誘はれて散る木々の葉の 雪は夕日に照りはへて げに厳めしの銅像や (二)自由の祖先高知市の 偉人を偲ぶ銅像の 其の勇ましき姿こそ 永き偉人のかたみなれ (大正十三・一・六) | |||
| 文庫版「芸術の円光」覚書 | 北原白秋 | 5分以内 | |
「芸術の円光」は昭和二年三月、アルスより刊行された。 | |||
| 『パンドラの匣』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
この小説は、終戰後に仙臺の河北新報社から出版せられたものであるが、河北新報社が或る印刷技術の支障に依り、再版に手まどる樣子で、讀者の要望もある樣子だし、河北新報社出版部の宮崎泰二郎氏の好意ある了承のもとに、その再版を、岩月英男君にゆだねた。 | |||
| 『老ハイデルベルヒ』序 | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「兄たち」「愛と美について」「新樹の言葉」「老ハイデルベルヒ」「おしやれ童子」「八十八夜」「秋風記」「短篇集―ア、秋・女人訓戒・座興に非ず・デカダン抗議」「俗天使」「花燭」 昭和十四年五月に「愛と美について」さうして、昭和十五年四月には「皮膚と心」が共に竹村書房より出版せられ、おのおの初版二千部くらゐを市場に送り、間もなく品切れとなつた樣子であるが、用紙不足の爲、竹村書房に於いても再版 | |||
| 『ろまん灯籠』序 | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「懶惰の歌留多」「古典風」「ろまん燈籠」「貨幣」「隨筆―海・津輕地方とチエホフ・返事」 この集には、あまい、ロマンチツクとでもいつたやうな匂ひの作品を選んでみた。 | |||
| 『女神』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「美少女」「春の盜賊」「誰も知らぬ」「善藏を思ふ」「盲人獨笑」「服裝について」「令孃アユ」「女神」 久しく絶版になつてゐた創作集の中から、割に輕いタツチの小説を集めてみた。 | |||
| 『女性』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「十二月八日」「女生徒」「葉櫻と魔笛」「きりぎりす」「燈籠」「誰も知らぬ」「皮膚と心」「恥」「待つ」 昭和十二年頃から、時々、女の獨り言の形式で小説を書いてみて、もう十篇くらゐ發表した。 | |||
| 『猿面冠者』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「猿面冠者」「ダス・ゲマイネ」「二十世紀旗手」「新ハムレツト」 このたびの選集には、大戰中に再版できなかつた作品だけを收録した。 | |||
| 『玩具』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「玩具」「魚服記」「地球圖」「猿ヶ島」「めくら草紙」「皮膚と心」「きりぎりす」「畜犬談」 「玩具」から「めくら草紙」に到る五篇は、私の第一創作集「晩年」から選び出した作品である。 | |||
| 『風の便り』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「風の便り」「新郎」「誰」「畜犬談」「鴎」「猿面冠者」「律子と貞子」「地球圖」 昨年の夏に出版せられた創作集「千代女」の以後の作品を集めて、ただいま讀者にお贈りする。 | |||
| 『思ひ出』序 | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「思ひ出」「ダス・ゲマイネ」「二十世紀旗手」「新樹の言葉」「富嶽百景」「餘瀝 近事片々」 「思ひ出」 けふまで創作集が五册出てゐるから、それぞれの出版主にお願ひして、一册から一篇づつ拔き取ることを許してもらつた。 | |||
| 『姥捨』あとがき | 太宰治 | 5分以内 | |
所收――「葉」「列車」「I can speak」「姥捨」「東京八景」「みみづく通信」「佐渡」「たづねびと」「千代女」 この短篇集を通讀なさつたら、私の過去の生活が、どんなものであつたか、だいたい御推察できるやうな、そのやうな意圖を以て編んでみた。 | |||
| みんな悲しげにそう思う | 倉橋潤一郎 | 5分以内 | |
胡瓜つくってもいい トマトつくってもいい 南瓜も西瓜も茄子も 高い肥料代や小作米にくわれる 二番稲をつくるより 野菜をつくって市へだすのが なんぼいいかも知れない 山の向うの村から はこんで来るリヤカーの群をみると みんな悲しげにそう思う 今朝も おっかあ達は ここ 町の入口で がやがやとかけひきに余念がない 家の側を流れる溝で 夜になって 月にぬれて 野菜や果物を洗ってみたい 自分で手入れて | |||
| メーデーを待つ | 木村好子 | 5分以内 | |
うす暗い長屋のすみで、毎日、 私と坊やは糊まみれ、 糊にまみれてせっせと渋団扇を張るけれど 戦争にあなたを奪われた私の生活 張っても張っても追っつかない 苦しい暮しの真ただ中で――おお早や五月 闘いのメーデーが来る! おお戦争と白テロの渦巻く中 今年のメーデーはどんなにすごかろう それにつけても忘れられぬあなた! 去年、あのだらしない葬式行列に 組合の人達と一緒に割り込みの先陣をうけもったあなた | |||
| 兄ちゃん | 木村好子 | 5分以内 | |
吹きっさらしの田圃には もう、村の誰も出ていない だのに、私の家では麦蒔きがすまない 取り入れ半ばに兄ちゃんが召集されて あとに残った女手二つ 私とおっ母とであくせくと麦蒔き 毎日、朝早くから晩おそくまで かたい刈株をうちかえし、うねをつくり せっせと蒔きつけを急ぐ私達―― かよわい女手で、夕方、ぐったり疲れて家に帰れば 地主の奴が、がみがみ年貢を取りたてにやってくる おお兄ちゃんが満州へ引っ | |||
| 落葉 | 木村好子 | 5分以内 | |
落葉よ、落葉よ、 秋風に吹かれて、 お前がカラカラと鳴り乍ら 井戸端に水すすぐ私の手元へ、黄色く、 舞いこんでくると、 おお、私は胸ふたがれる! 何一つもたらすことなく、 過ぎ去った日の一日一日を ただ、えいえいと つづれつくろい、米かしぎ 凡ての希みも、よろこびも、 かなしみさえもおき去りにして 生涯をただ貧しく終えゆく無数の私らの生命のように、 ああ、お前は散ってゆく、 秋風になぶられて、舞 | |||
| 保護職工 | 森竹夫 | 5分以内 | |
働いているこの機械は家庭用シンガーミシン台ではない 旧式な製本の安機械 彼女は磨き歯車に油を注す 埃をうかべた日光が漸くさぐりあてるくらがりで だまりやさん だまりやさん だけどわたしはお前がじっと何をこらえているのか知ってるの 十六歳未満だから保護職工 何てかがやかしい名だ美しい名だ 残業はたっぷり四時間 活動小屋のはねる頃になって 半分眠ったこの保護職工は縄のようなからだで露路から電車道にた | |||
| 章魚人夫 | 広海大治 | 5分以内 | |
北方の海には氷が張りつめた 食物がなくなった章魚は おのれの足を食いつくした 春四月 まだ雪は南樺太の野を埋めている 人夫は前借金二十五円にしばられて 鉄道工事現場へ追い込まれた へばりついた大雪の残りが消えた ドロ柳があおい芽をふいた 流氷が去った海岸に鰊が群来た けれど オホーツク嵐は氷の肌の様に寒いや 伐材だ 切取りだ 低地へは土を盛れ 岩石はハッパで砕け さあ、ツルだスコップだ トロ | |||
| 拡大されゆく国道前線 | 広海大治 | 5分以内 | |
(1) 視野一面 連る山脈の彼方に 朝やけの赤い太陽―― ペダルを力一杯 地下足袋で踏んづけて 工事場へ走る俺達 爽涼たる朝霧の中に 曲りくねった山峡の白い路 杉と雑木と 山の背の彼方に 見えては かくれ かくれては現われる相棒の姿 俺は呼びかける ――おうい待てよう ――ほーい 山萩の垂れ下った曲路の向う側に あいつの自転車は消えて ベルの音とこだまだけが深い谷間に残る ――早う来んと歩が切 | |||
| 馬鈴薯階級の詩 | 中島葉那子 | 5分以内 | |
馬鈴薯階級の詩 (一) カマドガヤシの白い穂が 雪の様に飛ぶ十一月の野良で 仁平はおっかあや娘と仕事着の尻、枯っ風にひったくられ乍ら 馬鈴薯選別して俵につめていた。 | |||
| 職場の歌 | 大江鉄麿 | 5分以内 | |
ダンダンダンダン…… 歯車がかちかちとわめいている モートルの野郎はブーンとうなっていやがらあ ベルトが二百五十の回転速力できざむ様に…… ダンダンダンダン…… 源兄いお前そのベルトの奴に右手を半分取られたな 近所の義もそのベルトの奴に指を三本喰われちまったぞ ダンダンダンダン…… 畜生ベルトの奴 貴様まで俺達の血をしぼると云うのか 源兄いが右手を取られた時の姿 近所の義が指を喰われた時の姿 血潮 | |||
| 河の上の職場 | 大江鉄麿 | 5分以内 | |
黒い水面が時々石炭の切れ口のように、ギラギラと河波の照りかえし、 中ひざまでせきとめられ、八本のミキサコンクリトがけの鉄骨に、 歯をむきだし、 カプリと、 背筋をひきちぎる音波をうって、揺れてゆく河―― 脳味噌をぶち砕くような、のたうつ肚の底までピリピリと震動さす響。 | |||
| 農村から | 榎南謙一 | 5分以内 | |
――よう戻って来た 娘の手を握りながら 両親は娘一人ふえたこれからの生活を考える 正月だと言って 餅を鱈腹食うて寝ては居れなかった 地主の塀からきこえる 景気のいい餅搗きの音に 餓鬼どもは咽喉をグウグウいわせて駄々をこねた お父うが鍬をかついで 裏口からコッソリ出かけようとしたとき お母あはどう言って泣いたか ――三ヵ日にようもまあ、仕事をするだ フウが悪うて……… 米の有り余る豊年に 百姓の納 | |||