五重塔
幸田露伴
『五重塔』は青空文庫で公開されている幸田露伴の長編作品。59,273文字で、おおよそ1時間〜で読むことができます。
文字数 | 1時間〜 59,273文字 |
人気 | 134,442PV |
書き出し書出 | 其木理美しき槻胴、縁にはわざと赤樫を用いたる岩畳作りの長火鉢に対いて話し敵もなくただ一人、少しは淋(さび)しそうに坐(すわ)り居る三十前後の女、男のように立派な眉をいつ掃いしか剃(そ)ったる痕の青々と、見る眼も覚むべき雨後の山の色をとどめて翠(みどり)の匂いひとしお床しく、鼻筋つんと通り眼尻キリリと上り、洗い髪をぐるぐると酷く丸めて引裂紙をあしらいに一本簪でぐいと留めを刺した色気なしの様はつくれど、憎いほど烏黒にて艶ある髪の毛の一ト綜(ふさ)二綜後れ乱れて、浅黒いながら渋気... |
初出 | 「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月 |
底本 | 日本の文学 1 坪内逍遙 二葉亭四迷 幸田露伴 |
表記 | 新字新仮名 |
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