小川未明の全作品

もう昔となった。

最近小さな子供の行状などを見ていると胸をうたれる。

時代は、生動しています。

次の時代を建設する者が、今日の子供達であると知る時、私達は、未来への希望と理想を子供達に対して持たないであろうか。

この度、日本国民童話協会が創立されまして衷心からお喜びの言葉を申し上げます。

自由と純真な人間性と、そして空想的正義の世界にあこがれていた自分は、いつしかその芸術の上でも童話の方へ惹（ひ）かれて行くようになってしまいました。

田園の破産学生の時分、暑中休暇に田舎へ帰って、百姓に接したときは、全くそこに都会から独立した生活があったように感じられたものです。

今日世間では頻りに文化的ということを言っている。

老婆は眠っているようだ。

小舎は山の上にあった。

独り、道を歩きながら、考えるともなく寂しい景色が目の前に浮んで来て胸に痛みを覚えるのが常である。

春の長閑な日で、垣根の内には梅が咲いていた。

私が六ツか七ツの頃であった。

町から少し離て家根が処々に見える村だ。

おあいが村に入って来たという噂が立った。

正一は、かくれんぼうが好きであった。

その頃この町の端に一つの教会堂があった。

山奥である。

〔人物〕第一の見慣れぬ旅人第二の見慣れぬ旅人第三の見慣れぬ旅人第四の見慣れぬ旅人第五の見慣れぬ旅人第六の見慣れぬ旅人第七の見慣れぬ旅人白い衣物を着た女〔時〕現代遥かに地平線が見える。

ブリキ屋根の上に、糠（ぬか）のような雨が降っている。

家の前に柿の木があって、光沢のない白い花が咲いた。

車屋夫婦のものは淋しい、火の消えたような町に住んでいる。

二郎は昨夜見た夢が余り不思議なもんで、これを兄の太郎に話そうかと思っていましたが、まだいい折がありません。

何の時代からであるか、信濃の国の或る山中に、一つの湖水がある。

太郎の一番怖がっているのは、向うの萩原のお婆さんで、太郎は今年八歳になります。

私は、夜を讃美し、夜を怖れる。

いま日本は、一面に戦い、一面に東亜建設の大業に着手しつつある。

極めて単調子な、意味のシンプルな子守唄が私の心を魅し去ってしまう。

籠の中で産まれた小鳥は、曾て広い世界を知らず、森の中や、林の中に、自分等の友達の住んでいることを知りませんから、外を恋しがらないかというに、そうでありません。