初かつお
長谷川時雨
『初かつお』は青空文庫で公開されている長谷川時雨の短編作品。2,541文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数 | 10分以内 2,541文字 |
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書き出し書出 | 鰹といふと鎌倉で漁れて、江戸で食べるといふふうになつて、賣るも買ふも、勇み肌の代表のやうになつてゐるが、鰹は東南の海邊では、どこでも隨分古くから食用になつてゐる上に、鰹節の製造されたのも古いと見えて、社の屋根の鰹木は、鰹節をかたどつたものだと、「舍屋の上に堅魚を」と古事記にあれば、水の江の浦島の子をよめる萬葉の長歌には春の日の霞める時に住吉の、岸に出でゐて釣船の、とをらふ見れば古の事ぞ思ほゆ、水の江の浦島の兒が堅魚釣り、鯛釣りほこり七日まで――と、魚の王鯛と同格... |
初出 | 「三田新聞」1935(昭和10)年5月31日 |
底本 | 桃 |
表記 | 旧字旧仮名 |
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