ブンゴウサーチ

うつせみ

樋口一葉

『うつせみ』は青空文庫で公開されている樋口一葉の短編作品。8,347文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数
30分以内
8,347文字
人気
0PV
書出

家の間數は三疊敷の玄關までを入れて五間、手狹なれども北南吹とほしの風入りよく、庭は廣々として植込の木立も茂ければ、夏の住居にうつてつけと見えて、場處も小石川の植物園にちかく物靜なれば、少しの不便を疵(きず)にして他には申旨のなき貸家ありけり、門の柱に札をはりしより大凡三月ごしにも成けれど、いまだに住人のさだまらで、主なき門の柳のいと、空しくなびくも淋しかりき、家は何處までも奇麗にて見こみの好ければ、日のうちには二人三人の拜見をとて來るものも無きにはあらねど...

初出「讀賣新聞」1895(明治28)年8月27~31日
底本日本現代文學全集 10 樋口一葉集
表記
旧字旧仮名
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。