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たけくらべ

樋口一葉

『たけくらべ』は青空文庫で公開されている樋口一葉の長編作品。29,451文字で、おおよそ1時間〜で読むことができます。
文字数
1時間〜
29,451文字
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書出

廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お齒ぐろ溝に燈火うつる三階の騷ぎも手に取る如く、明けくれなしの車の行來にはかり知られぬ全盛をうらなひて、大音寺前と名は佛くさけれど、さりとは陽氣の町と住みたる人の申き、三嶋神社の角をまがりてより是れぞと見ゆる大厦もなく、かたぶく軒端の十軒長屋二十軒長や、商ひはかつふつ利かぬ處とて半さしたる雨戸の外に、あやしき形に紙を切りなして、胡粉ぬりくり彩色のある田樂みるやう、裏にはりたる串のさまもをかし、一軒ならず二軒ならず、朝日に干して夕日に仕舞ふ手...

初出「文學界」文學界雑誌社、1895(明治28)年1~3、8、11、12月、1896(明治29)年1月
底本日本現代文學全集 10 樋口一葉集
表記
旧字旧仮名
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