八幡の森
伊藤左千夫
『八幡の森』は青空文庫で公開されている伊藤左千夫の短編作品。2,444文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数 | 10分以内 2,444文字 |
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書き出し書出 | 市川の宿も通り越し、これから八幡という所、天竺木綿の大きな国旗二つを往来の上に交扠して、その中央に祝凱旋と大書した更紗の額が掛っている、それをくぐると右側の屑屋の家では、最早あかりがついて障子がぼんやり赤い、その隣りでは表の障子一枚あけてあるので座敷に釣ってあるランプがキラリと光を放っている、ほのくらい往来には、旅の人でなく、土地のものらしい男や婆さんやがのっそりのっそりあるいている、赤児をおぶった児供やおぶわないのや、うようよ槙屏(まきべい)の蔭に遊んでいる、荒物店の前では、荷馬車一台荷... |
初出 | 「馬醉木 第三卷第一號」根岸短歌会、1906(明治39)年1月1日 |
底本 | 左千夫全集 第二卷 |
表記 | 新字新仮名 |
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