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南地心中

泉鏡花

『南地心中』は青空文庫で公開されている泉鏡花の長編作品。45,049文字で、おおよそ1時間〜で読むことができます。
文字数
1時間〜
45,049文字
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書出

「今のは、」初阪ものの赤毛布、という処を、十月の半ば過ぎ、小春凪で、ちと逆上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞(しま)も隠されず、頬被りがわりの鳥打帽で、朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅間、大山、筑波、はじめて、出立つを初山と称うるに傚(なら)って、大阪の地へ初見参という意味である。

初出
底本泉鏡花集成6
表記
新字新仮名
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