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天災と国防

寺田寅彦

『天災と国防』は青空文庫で公開されている寺田寅彦の短編作品。7,761文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
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30分以内
7,761文字
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書出

「非常時」というなんとなく不気味なしかしはっきりした意味のわかりにくい言葉がはやりだしたのはいつごろからであったか思い出せないが、ただ近来何かしら日本全国土の安寧を脅かす黒雲のようなものが遠い水平線の向こう側からこっそりのぞいているらしいという、言わば取り止めのない悪夢のような不安の陰影が国民全体の意識の底層に揺曳していることは事実である。

初出「経済往来」1934(昭和9)年11月
底本寺田寅彦随筆集 第五巻
表記
新字新仮名
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