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刺客蚊公之墓碑銘柩に収めて東都の俳人に送る

正岡子規

『刺客蚊公之墓碑銘』は青空文庫で公開されている正岡子規の短編作品。411文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
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411文字
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書出

田舎の蚊々、汝(なんじ)竹藪の奥に生れて、その親も知らず、昼は雪隠にひそみて伏兵となり、夜は臥床をくぐりて刺客となる、咄(とつ)汝の一身は総てこれ罪なり、人の血を吸ふは殺生罪なり、蚊帳の穴をくぐるは偸盗罪なり、耳のほとりにむらがりて、雷声をなすは妄語罪なり、酒の香をしたふて酔ふことを知らざるは、飲酒罪なり、汝五逆の罪を犯してなほ生を人界にぬすむは、そもそも何の心ぞ、あくまで血にふくれて、腹のさくるは自業自得なり、子をさして母をこまらせ親を苦しめて子をなかせたる罪の、今忽(たちま)ち報ひ来...

初出「法の雷 第十三号」1891(明治24)年10月15日
底本飯待つ間
表記
新字旧仮名
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