青空文庫で公開されている富田常雄の作品の中で、おおよその読了目安時間が「30分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
ミチは他の女性の様に銭湯へ行くのに、金盥やセルロイドの桶(おけ)なぞに諸道具を入れて抱えて行く様な真似はしない。
巣鴨の拘置所から、戦犯容疑者としての嫌疑が晴れて釈放されたわしが、久しぶりに大磯の「圓月荘」の扁額をかけた萱門の戸摺石の上に立った時、最初に、耳ばかりでなく、体全体に響き渡る様に聞えたのは波の音であった。