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蜆谷

山本周五郎

『蜆谷』は青空文庫で公開されている山本周五郎の中編作品。14,093文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数
60分以内
14,093文字
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書出

一 「こんなに鴨の寄らないこともないもんだ、もう師走という月でまるっきり影もみせない」風邪でもひいているような、ぜいぜい声でこう云うのが聞こえた、「もう十年もむかしだったか、沖の島の杓子岩のくずれた年だかに鴨の寄らないことがあった」 「なむあみだ、なむあみだ」別の声がうたうような調子でそう云った、「ばかな凍てだ、これじゃあまた明日は寝て暮らすだ、出て来なけりゃあよかった」 「猟場が変わったのもた

初出「新読物」公友社 、1947(昭和22)年3月号
底本山本周五郎全集第二十巻 晩秋・野分
表記
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