お蝶の訪れ
牧野信一
『お蝶の訪れ』は青空文庫で公開されている牧野信一の短編作品。5,821文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数 | 30分以内 5,821文字 |
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書き出し書出 | いま時分に、まだ花のあるところなんてあるのかしら?――はじめて来た方角には違ひないのだが、案外だ!この様子を見ると何処か途中にでも花見の場所があるのらしいが、どうも妙だ!何処の花だつて、もうとうに散つてゐる筈だが――花見と云つても、あの時のは芝居見物のことだつたが、あれに誘はれたのはやがてもう一ト月も前になるぢやないか!あの頃が、それでも田舎よりはいくらか遅い東京のお花見季だつた筈だ……と思ふんだが、さうでもなかつたのかな!あの時もあの連中と一緒に出かけて... |
初出 | 「新小説 第三十一巻第七号」春陽堂、1926(大正15)年7月1日 |
底本 | 牧野信一全集第二巻 |
表記 | 新字旧仮名 |
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