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幽霊の出る宮殿

牧野信一

『幽霊の出る宮殿』は青空文庫で公開されている牧野信一の短編作品。6,083文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
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30分以内
6,083文字
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書出

わたしはこの四五年来、少くとも一年のうちに二回以上は、全く天涯の孤独者であるかのやうな、そして深い寧ろ憂ひに閉ぢこめられたやうな姿で独り、登山袋に杖を突いて、遠方の景色にばかり見惚れてゐるかのやうな眼を挙げながら、すたすたとその山峡の村へ赴くのが慣ひである。

初出「早稲田文學 第三巻第一号」早稲田文學社、1936(昭和11)年1月1日
底本牧野信一全集第六巻
表記
新字旧仮名
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