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海辺の窓

三好達治

『海辺の窓』は青空文庫で公開されている三好達治の短編作品。2,797文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
2,797文字
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書出

破風をもる煙かすかに水をくむ音はをりふしこの庵に人はすめども日もすがら窓をとざせり自らかう歌つた私の家の海にむかつた窓はその前に藤棚のたふれたのがいつまでもたふれたままで、それが新らしく芽をふき蔓をのばし、白き花房が気ままに咲き乱れる時分になつても、めつたに雨戸を繰つて開け放たれたことがない。

初出
底本日本の名随筆79 港
表記
新字旧仮名
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