出征
槙村浩
『出征』は青空文庫で公開されている槙村浩の短編作品。2,236文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数 | 10分以内 2,236文字 |
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書き出し書出 | 今宵電車は進行を止め、バスは傾いたまゝ動かうともせぬ沿道の両側は雪崩れうつ群衆、提灯と小旗は濤のように蜒り歓呼の声が怒濤のように跳ね返るなかをおれたちは次々にアーチを潜り、舗道を踏んでいま駅前の広場に急ぐおゝ、不思議ではないかかくも万歳の声がおれたちを包みおれたちの旅がかくも民衆の怒雷の歓呼に送られるとは!春の街は人いきれにむれ返り銃を持つ手に熱気さへ伝はる火の海のやうな市街を見詰めながら、おれはふと思... |
初出 | 「赤い銃火」1932(昭和7年)年4月 |
底本 | 槇村浩詩集 |
表記 | 新字旧仮名 |
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