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自選 荷風百句

永井荷風

『自選 荷風百句』は青空文庫で公開されている永井荷風の短編作品。3,126文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
3,126文字
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書出

(自選)荷風百句わが発句の口吟、もとより集にあむべき心とてもなかりしかば、書きもとどめず、年とともに大方は忘れはてしに、おりおり人の訪来りて、わがいなむをも聴かず、短冊色帋なんど請わるるものから、是非もなく旧句をおもい出して責ふさぐことも、やがて度重るにつれ、過ぎにし年月、下町のかなたこなたに佗住いして、朝夕の湯帰りに見てすぎし町のさま、又は女どもと打つどいて三味線引きならいたる夜々のたのしみも、亦おのずから思返されて、かえらぬわかき日のなつかしさに堪えもやらねば、今...

初出「おもかげ」岩波書店、1938(昭和13)年7月10日
底本麻布襍記 ――附・自選荷風百句
表記
新字旧仮名
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