10分以内で読める小川未明の短編児童文学作品

去年の寒い冬のころから、今年の春にかけて、たった一ぴきしか金魚が生き残っていませんでした。

のぶ子という、かわいらしい少女がありました。

ある田舎に、仲のよい兄弟がありました。

小さな姉弟は、父の目が、だんだん見えなくなるのを心配しました。

北のさびしい海のほとりに、なみ子の家はありました。

もくら、もくらと、白い雲が、大空に頭をならべる季節となりました。

ある日のこと、義夫は、お母さんにつれられて町へいくと、露店が並んでいました。

英ちゃんは、お姉さんから、お古の財布をもらいました。

年雄は、丘の上に立って、ぼんやりと考えていました。

松林で、聞きなれた鳥の声がしました。

光子さんが、学校へいこうとすると、近所のおばあさんが、赤ちゃんをおぶって、日の当たる道の上に立っていました。

季節が、冬から春に移りゆく時分には、よくこんなような静かな、そして、底冷えのする晩があるものですが、その夜は、まさしくそんな夜でありました。

子どもは、つくえにむかって、勉強をしていました。

頭が過敏すぎると、口や、手足の働きが鈍り、かえって、のろまに見えるものです。

村に、おいなりさまの小さい社がありました。

ゆり子ちゃんは、外へ出たけれど、だれも遊んでいませんでした。

学校から帰りの二少年が、話しながら、あまり人の通らない往来を歩いてきました。

広い庭には、かきが赤くみのっていました。

赤地の原っぱで、三ちゃんや、徳ちゃんや、勇ちゃんたちが、輪になって、べいごまをまわしていました。

正二くんは時計がほしかったので、これまでいくたびもお父さんや、お母さんに、買ってくださいと頼んだけれども、そのたびに、「中学へ上がるときに買ってあげます。

さびしいいなかながら、駅の付近は町らしくなっていました。

冬の日は、昼過ぎになると、急に光がうすくなるのでした。

ある日のことです。

目の落ちくぼんだ、鼻の高い、小西一等兵と、四角の顔をした、ひげの伸びている岡田上等兵は、草に身を埋ずめ腹ばいになって話をしていました。

林の中に、一本、とりわけ高いすぎの木がありました。

村は静かでありました。

この夏休みに、武ちゃんが、叔父さんの村へいったときのことであります。

春のころ、一度この谷間を訪れたことのあるしじゅうからは、やがて涼風のたとうとする今日、谷川の岸にあった同じ石の上に降りて、なつかしそうに、あたりの景色をながめていたのであります。

あのときの、女の先生は、まだいらっしゃるだろうか。

おじいさんは、朝起きると、火鉢に当たりながら、もうそのころ配達されている新聞をごらんになっています。

毎日いっしょに勉強をしたり、また遊んだりしたお友だちと別れる日がきました。

そこは、町のにぎやかな通りでありました。

わたくしが門を出ると、ちょうど、ピイピイ、笛をならしながら、らお屋が、あちらのかどをまがりました。

一匹のねずみが、おとしにかかりました。

正二くんの打ちふる細い竹の棒は、青い初秋の空の下で、しなしなと光って見えました。

正ちゃんはまだふといバットをふれなかったので、きょねんはおうえんだんちょうになりました。

金さんは、幼い時分から、親方に育てられて、両親を知りませんでした。

外は寒いけれど、いいお天気でした。

町というものは、ふしぎなものです。

原っぱは、烈しい暑さでしたけれど、昼過ぎになると風が出て、草の葉はきらきらと光っていました。

南の方の海を、航海している船がありました。

山へ雪がくるようになると、ひよどりが裏の高いかしの木に鳴くのであります。

小学校にいる時分のことでした。

もう、五、六年前のことであります。

空き地には、草がしげっていましたが、いまはもう黄色くなって、ちょうど柔らかな敷物のように地面に倒れていました。

白と黒の、ぶちのかわいらしい子ねこが、洋服屋の飾り窓のうちに、いつもひなたぼっこをしていました。

＊村から、町へ出る、途中に川がありました。

いつものようにぼくは坂下の露店で番をしていました。

おじさんの髪は、いつもきれいでした。

いろいろの店にまじって、一けんの筆屋がありました。