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一つ枕

柳川春葉

『一つ枕』は青空文庫で公開されている柳川春葉の短編作品。818文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
818文字
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書出

これは友人の談だ、ある年の春の末、もう青葉の頃だったが、その男は一夜友人に誘われて吉原のさる青楼へ上った、前夜は流連をして、その日も朝から酒を飲んでいたが、如何にも面白くない、友人に断って自分だけは帰ろうとしたが、友人が無理に引止めるので、仕方なしに、その宵はまだ早かったが、三階の一番隅の部屋で、一人寝ていると、外もそろそろ賑(にぎやか)になって来たようだが、自分の部屋の近所ではヒッソリと静かで、時々下の方で重い草履の音が、パタリパタリと寝むそうに聞え、窓越の裏の田甫からは蛙(かわず)の...

初出
底本文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
表記
新字新仮名
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