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青銅鬼

柳川春葉

『青銅鬼』は青空文庫で公開されている柳川春葉の短編作品。693文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
693文字
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書出

何日だったか、一寸忘れたが、或(ある)冬の夜のこと、私は小石川区金富町の石橋思案氏の家を訪れて、其処を辞したのは、最早十一時頃だ、非常に真暗な晩なので、全く鼻を撮まれても解らないほどであった、ふいと私は氏の門を出て、四五間行くと、その細い横町の先方から、低く草履の音がして、道の片隅を来るものがある、私は手に巻煙草を持っていたので、漸々二人が近寄って遂に通過ぎる途端、私は思わずその煙草を一服強く吸った拍子に、その火でその人の横顔を一寸見ると驚いた、その蒼褪(あおざめ)た顔といったら、到底人...

初出
底本文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
表記
新字新仮名
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