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或る秋の紫式部

岡本かの子

『或る秋の紫式部』は青空文庫で公開されている岡本かの子の短編作品。5,103文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数
30分以内
5,103文字
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書出

時 寛弘年間の或る秋 処 京の片ほとり 人 紫式部  三十一二歳 老侍女 妙な美男 西向く聖 (舞台正面、質素な西の対屋の真向き、秋草の生い茂れる庭に臨んでいる。その庭を囲んで矩形に築地垣が廻らされているが、今は崩れてほんの土台の型だけ遺っているばかりなので観覧席より正面家屋の屋内の動静を見物するのに少しも差支えない。 上手、築地垣より通路一重を距てて半、紅葉した楓の木の下に、漸く人一人の膝を入れ

初出「むらさき」1935(昭和10)年11月号
底本岡本かの子全集2
表記
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