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軒もる月

樋口一葉

『軒もる月』は青空文庫で公開されている樋口一葉の短編作品。4,040文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数
30分以内
4,040文字
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書出

我が良人は今宵も歸(かへ)りのおそくおはしますよ、我が子は早く睡りしに歸(かへ)らせ給はゞ興なくや思さん、大路の霜に月氷りて踏む足いかに冷たからん、炬燵(こたつ)の火もいとよし、酒もあたゝめんばかりなるを、時は今何時にか、あれ、空に聞ゆるは上野の鐘ならん、二つ三つ四つ、八時か、否、九時になりけり、さても遲(おそ)くおはします事かな、いつも九時のかねは膳の上にて聞き給ふを、それよ今宵よりは一時づゝの仕事を延ばして此子が爲(ため)の收入を多くせんと仰せられしなりき、火氣の滿(みち)たる室にて...

初出「毎日新聞」1895(明治28)年4月3、5日
底本樋口一葉全集第二卷
表記
旧字旧仮名
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