十三夜
樋口一葉
『十三夜』は青空文庫で公開されている樋口一葉の中編作品。12,943文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数 | 60分以内 12,943文字 |
人気 | 78,288PV |
書き出し書出 | 上例は威勢よき黒ぬり車の、それ門に音が止まつた娘ではないかと両親に出迎はれつる物を、今宵は辻(つぢ)より飛のりの車さへ帰して悄然と格子戸の外に立てば、家内には父親が相かはらずの高声、いはば私も福人の一人、いづれも柔順しい子供を持つて育てるに手は懸らず人には褒められる、分外の欲さへ渇かねばこの上に望みもなし、やれやれ有難い事と物がたられる、あの相手は定めし母様、ああ何も御存じなしにあのやうに喜んでお出遊ばす物を、どの顔さげて離縁状もらふて下されと言はれた物か、叱(し)かられるは... |
初出 | 「文藝倶樂部・臨時増刊閨秀小説」博文館、1895(明治28)年12月10日 |
底本 | にごりえ・たけくらべ |
表記 | 新字旧仮名 |
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