十三夜
樋口一葉
『十三夜』は青空文庫で公開されている樋口一葉の中編作品。12,737文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数 | 60分以内 12,737文字 |
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書き出し書出 | 上例は威勢よき黒ぬり車の、それ門に音が止まつた娘ではないかと兩親に出迎はれつる物を、今宵は辻より飛のりの車さへ歸して悄然と格子戸の外に立てば、家内には父親が相かはらずの高聲、いはゞ私も福人の一人、いづれも柔順しい子供を持つて育てるに手は懸らず人には褒められる、分外の慾さへ渇かねば此上に望みもなし、やれ/\有難い事と物がたられる、あの相手は定めし母樣、あゝ何も御存じなしに彼のやうに喜んでお出遊ばす物を、何の顏さげて離縁状もらふて下されと言はれた物か、叱かられるは必定、太郎といふ... |
初出 | 「文藝倶樂部 閨秀小説號」博文館、1895(明治28)年12月10日 |
底本 | 日本現代文學全集 10 樋口一葉集 |
表記 | 旧字旧仮名 |
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