織田作之助の全作品

本当に小説の勉強をはじめたのは、二十六の時である。

私の文学――編集者のつけた題である。

またしても大阪の話である。

みんなは私が鼻の上に汗をためて、息を弾ませて、小鳥みたいにちょんちょんとして、つまりいそいそとして、見合いに出掛けたといって嗤ったけれど、そんなことはない。

大晦日に雪が降った。

四条河原町先斗町と書いて、ぽんと町と読むことは、京都に遊んだ人なら誰でも知っていよう。

裸の娘その日、朝から降り出した雨は町に灯りがつく頃ふとやみそうだったが、夜になると急にまた土砂降りになった。

第一章ホテルを出ると雨が降っていた事。

医者に診せると、やはり肺がわるいと言った。

文子は十七の歳から温泉小町といわれたが、「日本の男はみんな嘘つきで無節操だ。

「歩哨に立って大陸の夜空を仰いでいるとゆくりなくも四ッ橋のプラネタリュウムを想いだした……」と戦地の友人から便りがあったので、周章てて四ッ橋畔の電気科学館へ行き六階の劇場ではじめてプラネタリュウムを見た。

その男は毎日ヒロポンの十管入を一箱宛買いに来て、顔色が土のようだった。

奇妙なことは、最初その女を見た時、ぼくは、ああこの女は身投げするに違いないと思い込んで了ったことなのだ、――と彼は語り出した。

友恵堂の最中が十個もはいっていた。

歳月が流れ、お君は植物のように成長した。

最近児子政江はパアマネントウェーヴをかけた。

身に覚えないとは言わさぬ、言うならば言うてみよ、大阪は二ツ井戸「まからんや」呉服店の番頭は現糞のわるい男、言うちゃわるいが人殺しであると、在所のお婆は順平にいいきかせた。

『四つの都』の起案より脱稿まで『四つの都』は川島雄三氏の第一回演出作品であるが、同時に私にとっても第一回シナリオである。