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霧の不二、月の不二

小島烏水

『霧の不二、月の不二』は青空文庫で公開されている小島烏水の短編作品。3,706文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
3,706文字
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書出

不二より瞰るに、眼下に飜展せられたる凸版地図の如き平原の中白面の甲府を匝ぐりて、毛ばだちたる皺の波を畳み、その波頭に鋭峻の尖りを起てたるは、是れ言ふまでもなく金峰山、駒ヶ嶽、八ヶ嶽等の大嶽にして、高度いづれも一万尺に迫り、必ずしも我不二に下らざるが如し、不二は自らその高さを意識せざる謙徳の大君なり、裾野より近く不二を仰ぐに愈よ低し、偉人と共に家庭居するものは、その那辺が大なるかを解する能はざるが如

初出
底本日本の名随筆58 月
表記
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