ブンゴウサーチ

菜の花

小島烏水

『菜の花』は青空文庫で公開されている小島烏水の短編作品。2,043文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
2,043文字
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書出

市街に住まっているものの不平は、郊外がドシドシ潰されて、人家や製造場などが建つことである、建つのは構わぬが、ユトリだとか、懐ろぎだとかいう気分が、亡くなって、堪まらないほど窮屈になる、たとえやにこくても、隙間もなく押し寄せた家並びを見ていると、時々気が詰まる、もし人家の傍に、一寸した畠でもあれば、それが如何に些細なものであっても、何だか緩和されるような気になる、そうして庭園のように、他所行きの花卉だの、「見てくれ」の装飾だのがしてないところに、又しようとも思わない無造作のところに、思いさ...

初出
底本日本の名随筆17 春
表記
新字新仮名
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