火の記憶広島原爆忌にあたり
木下夕爾
『火の記憶』は青空文庫で公開されている木下夕爾の短編作品。232文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
| 文字数 | 5分以内 232文字 |
| 人気 | 472PV |
| 書き出し書出 | とある家の垣根から 蔓草がどんなにやさしい手をのばしても あの雲をつかまえることはできない 遠いのだ あんなに手近にうかびながら とある木の梢の 終りの蝉がどんなに小さく鳴いていても すぐそれがわきかえるような激しさに変る 鳴きやめたものがいつせいに目をさますのだ 町の曲り角で 田舎みちの踏切で 私は立ち止つて自分の影を踏む 太陽がどんなに遠くへ去つても あの日石畳に刻みつけられた影が消えて |
| 初出 | |
| 底本 | 日本の詩歌 26 近代詩集 |
| 表記 |
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