小山清の全作品

私はその犬を飼うことにした。

北海道の夕張炭坑に、弥生寮という炭坑夫の合宿がある。

思い出私は数え年の二つのとき、父母に伴われて大阪へ行った。

私は浅草の新吉原で生れた。

仄聞するところによると、ある老詩人が長い歳月をかけて執筆している日記は嘘の日記だそうである。

こないだ電車の中で新国劇の「大菩薩峠」上演の広告ビラを見かけた。

金沢イエは私の父の浄瑠璃の弟子である。

おきぬは武蔵野市のはずれにある、アパートの女中である。

連れられてきた私を見てその人は云（い）った。

私は中学校の三年生のとき、家出をしたことがある。

むかしの話だ。

下谷の竜泉寺町という町の名は、直接その土地に馴染のない人にも、まんざら親しみのないものでもなかろう。

それは一冊の古ぼけたノートである。

まえがきこれは終戦直後、太宰さんがまだ金木に疎開中で、私独りが三鷹のお家に留守番をしていた時に書いたものです。

井伏さんに「点滴」という文章がある。

昭和二十年の三月上旬に、Ｂ29が東京の下町を襲撃した際に、私は一人の年寄と連れ立って逃げた。

関東大震災の時、浅草にいた私の一家は焼出されて、向島の水神にいた親戚の家に避難した。

ヨセフは牛の頸に繋ぐ軛（くびき）をこしらえていた。

末吉は屋台のおでん屋である。

――私はたいていうなだれて、自分の足もとばかり見て歩いていた。

小さな川を隔てて、少し遠い処に墓地があった。

老人は六十二になった。