お前は此の頃よくねむる

中野鈴子

『お前は此の頃よくねむる』は青空文庫で公開されている中野鈴子の短編作品。847文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

文字数
5分以内847文字
人気
849PV
書き出し

お前は此の頃よくねむる 朝もなかなか目が覚めない 若いお前には深いねむりが必要なのだ お前よ お前は母の手に返ってきた 日本が敗けたとき お前はわたしの子供となった お前が生まれたとき はじめてねむったあの時の母子のように わたし自身によって生まれた子供として 母の誇りをもって抱くことのできる 何と言う喜びぞ わたしは乳をしぼった 出ない乳をしぼり、つかれて痩せ夜もねむらずに お前を育てた育て

初出「新日本文学 第七号」婦人民主クラブ、1947(昭和22)年6月号
底本中野鈴子全詩集
表記
新字新仮名