ブンゴウサーチ

大江鉄麿

『懐』は青空文庫で公開されている大江鉄麿の短編作品。812文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
812文字
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書出

白樺の梢に冬眠は 引き裂くような雪肌を蒙古颪に冷めたくとぎすましている どんよりな雪雲に包まれた部落 彼方へずうと永く続き切っている地面 房々と綿の実ったような雪ころ 蹴ちらされた足跡が いとなけき者の 生活をしのぶ様に…… 「おっ母よ」 寒さに冷えきった体に 飯の空っぽにすいた胃袋をたたきのめしながら まるで木乃伊のように滑走った おっ母の乳下へかけずりよった つるし柿の様にしなびたおっ母の乳

初出「詩精神」1934(昭和9)年11月号
底本日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
表記
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