松の影

槙村浩

『松の影』は青空文庫で公開されている槙村浩の短編作品。412文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

文字数
5分以内412文字
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書き出し

何百年のその間 村の境に立ってゐる 一本松の松の影 今はだん/\枯れて来て 「かうまではかなく成ったか」と 空をあふいで一人言 「この私が生れたは  丁度今からかぞへたら  六百年の其の昔  あちらの村の庄屋さん  こゝへ私を植えたので  何百年のその間  こゝにかうして居たのだが  始は小さい松の影  だん/\大きく成って来て  二つの村の人々が  一日たんぼで働いた  つかれをいやす松の影  

初出
底本槇村浩全集
表記
新字旧仮名