ブンゴウサーチ

人民詩人への戯詩

槙村浩

『人民詩人への戯詩』は青空文庫で公開されている槙村浩の短編作品。1,762文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
1,762文字
人気
0PV
書出

1 中野重治 「ここは穴だ 黒くて臭い」 これは中野重治の生涯のスローガンだった 彼は帝国ホテルのまん中で立停り 鼻をいじりながらこう呟いた それから機関車の後姿を見送って うや/\しく敬礼しながら だがこの偉大な「大男」の煤臭いにおいにへきえきして またこう呟いた 列車が雨のふる品川駅につくと 彼は前衛の乗客を見送りながら 大きく息をついて 「さようなら」と言った 中野はいつも「さようなら」と

初出
底本槇村浩詩集
表記
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。