人生
夏目漱石
『人生』は青空文庫で公開されている夏目漱石の短編作品。3,976文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数 | 10分以内 3,976文字 |
人気 | 189,630PV |
書き出し書出 | 空を劃(くわく)して居る之(これ)を物といひ、時に沿うて起る之を事といふ、事物を離れて心なく、心を離れて事物なし、故に事物の変遷推移を名づけて人生といふ、猶麕身牛尾馬蹄のものを捉へて麟(きりん)といふが如し、かく定義を下せば、頗(すこぶ)る六つかしけれど、是を平仮名にて翻訳すれば、先づ地震、雷、火事、爺(おやぢ)の怖きを悟り、砂糖と塩の区別を知り、恋の重荷義理の柵抔(など)いふ意味を合点し、順逆の二境を踏み、禍福の二門をくゞるの謂(いひ)に過ぎず、但其謂に過ぎずと観ずれば、遭逢百端千差万... |
初出 | |
底本 | 現代日本文學大系 17 夏目漱石集(一) |
表記 | 新字旧仮名 |
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