待っていた一つの風景
今野大力
『待っていた一つの風景』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。287文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 287文字 |
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書き出し書出 | 痩たる土壌をかなしむなく遠き遍土にあるをかこつなく春となれば芽をだし夏となれば緑を盛り花を飾る貧しく小さくして尚たゆまずただ一つ秋、凡ての秋においてただ一つ種を孕んだわが名知らぬ草精一杯に伸びんとして努力空しく夏のま中炎天のあまり枯死してしまったものもある草にして一生は尊い生命の凡てである一つの種は一つの種をはらんだそして遍土の痩土に初冬のころ雪を戴き埋れ、静かに待ってい... |
初出 | 「旭川新聞」1928(昭和3)年1月26日 |
底本 | 今野大力作品集 |
表記 | 新字新仮名 |
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