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待っていた一つの風景

今野大力

『待っていた一つの風景』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。238文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
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5分以内
238文字
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痩たる土壌をかなしむなく 遠き遍土にあるをかこつなく 春となれば芽をだし 夏となれば緑を盛り花を飾る 貧しく小さくして尚たゆまず ただ一つ 秋、凡ての秋において ただ一つ 種を孕んだわが名知らぬ草 精一杯に伸びんとして努力空しく 夏のま中炎天のあまり枯死してしまったものもある 草にして一生は尊い生命の凡てである 一つの種は一つの種をはらんだ そして遍土の痩土に 初冬のころ 雪を戴き埋れ、静かに待っ

初出「旭川新聞」1928(昭和3)年1月26日
底本今野大力作品集
表記
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