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航海

今野大力

『航海』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。241文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
241文字
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書出

大いなる家鴨の姿に似たる 連絡船の三等船室にて 不愉快な動揺を感じ 軽い頭痛に悩まされ 渡り行く島の奥地に痛み悩む母への哀切に泣きつつ ひとりし寝転べば 出稼人夫等の行く先々の未だ見知らざる地への 憧れに満ちたる足に触れ 最初は驚き縮んだ私ではあるが 夢を持たない旅人のあらぬことを しみじみ我ながら感じては 貧しき出稼労働人の心に もろくも兄弟達の涙を感じ 足を伸べ組み添え 瞳を交し 微笑さえ見せ

初出「旭川新聞」1928(昭和3)年5月31日
底本今野大力作品集
表記
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